システムの建築家――ITアーキテクト:ITエンジニア職業図鑑(9)(1/2 ページ)
プログラマ、SE(システムエンジニア)、プロジェクトマネジャー――IT業界のさまざまな職業を紹介する本連載。第8回は、要素技術の専門家「ITアーキテクト」を解説する。
一口に「ITエンジニア」と言っても、その仕事は職種によってさまざまだ。「ITエンジニア職業図鑑」は、「プログラマ」「ITコンサルタント」「フィールドエンジニア」などのIT業界に存在するさまざまな職業を取り上げ、仕事内容や必要とされる能力、仕事のやりがいなどを紹介する。IT業界に興味のある学生諸君の職業選択の参考になれば、幸いだ。
前回は「ITスペシャリスト」の仕事やキャリアパスを紹介した。今回は、ITアーキテクトの仕事と人物像を紹介しよう。
ITアーキテクトとは
企業の情報システムは、「最先端だから」「他社が使っているから」といった理由で導入してもうまくいかない。
なぜなら、企業の情報システムは経営戦略や業務の特性によって、「スピード」や「信頼性」「コスト」など、要求されるものがさまざまで、ビジネスや業務に合っていないと利用されなくなるからだ。しかし現実には多くの要求を同時に満たすのは難しいため、最適なバランスを見極めなければならない。
ITアーキテクトは、「経営戦略」と「IT」の両方を理解した上で、情報システムのグランドデザイン(青写真)を描く職種である。建築業界の「建築家」と考えてもらえばいいだろう。建物の設計図を描く前に、「木造か鉄筋か」「一世帯か二世帯か」「予算は幾らか」「防犯対策は」「場所はどこか」などのさまざまな条件を頭に入れて、依頼主にぴったりの家はどのようなものかを考える仕事に似ている。
ITアーキテクトの設計方針に基づいて各情報システムの設計・開発が行われる。そのため、ITアーキテクトは企業の情報システム戦略の重要な役割を果たしている。
ITアーキテクトのやりがい
ITアーキテクトは、ITのプロフェッショナルとして思う存分腕をふるえることに、大きなやりがいを感じられるだろう。思い描いた通りに情報システムが機能して、利用者から「新システムはいいね!」と喜んでもらうことが、何よりの醍醐味(だいごみ)といえる。
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