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契約もしていないし働いてもいませんが、お金は払ってください。売り上げ期待していたんですから「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(28)(2/4 ページ)

東京高等裁判所 IT専門委員の細川義洋氏が、IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。今回は多段階契約の落とし穴を解説する。

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個別契約をしなかった発注者に道義的な責任はあるのか

 判決文を見る限り、下請けベンダーに後続フェーズの契約を断られるような非は見当たらないし、全フェーズの発注と作業を前提に基本契約を締結している。一方的に契約を結ばないのは“道義的”に見て問題があるようにも見える。

 一方、基本契約にはもともと、「作業の内容」「成果物」「金額」などが記載されていない。フェーズ3、4の個別契約がない以上、下請けが支払いを求める根拠もないようでもある。

 裁判でも意見が分かれたようで、第一審の東京地裁と第二審の東京高裁で異なる判断が示された。結果的に高裁の判断を双方が受け入れたが、それだけ微妙な判断だったといえるだろう。

 まずは地裁の判決から見ていただこう。

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