国内「SDS」市場、認知度は上昇するも市場形成は緩慢傾向──IDC調べ:国内企業の導入目的は「コスト削減」
IDCジャパンが、国内SDS(Software-Defined Storage)製品市場の2016年調査結果を発表。国内市場形成の速度は緩慢だが、今後、外資系ベンダーのSDS製品が国内市場にも浸透していくと予測している。
IDCジャパンは2016年8月29日、国内Software-Defined Storage(SDS)製品市場に関する2016年の調査結果を発表。今回の調査では、「利用中/計画中」「利用しないと決めた」と、方針を既に決めた企業の割合が高くなり、「検討中」とする企業が前年2015年の調査と比較して少なくなった。SDS製品の認知度や利用率は、まだ低いながらも上昇傾向にあるという。
同社ではSDS製品を「容易に入手可能な(カスタマイズされていない)コンポーネントによって構成されたコモディティハードウェアを前提とし、その上に搭載されたソフトウェアスタックによってストレージ機能のフルセットを提供するプラットフォーム」と定義。調査結果で「検討中」の割合が減った理由は、SDS製品に関する理解が進み、自社に適した製品なのかどうかを判断できるようになったユーザー企業が増えたためと同社は分析している。
SDSの導入状況は、「現在利用中」が全体の23%、「2年以内に導入を計画」と「検討しているが時期未定」はそれぞれ17%と14%だった。一方、「利用予定はない」は24%、「分からない」は22%だった。
SDSの導入理由は、「コスト削減」が多数を占めた。SDSは、大量のデータを扱う企業にとって、導入コストや保守料金を低く抑えられ、運用コストも削減できると期待されている。ただし、「管理ソフトウェアで制御できる」「ビジネス目的の達成につながりやすい」などと回答した割合は低く、運用の自動化やプロビジョニングの迅速化といった利点を評価するユーザーはまだ少なかった。
同社では今後のSDS市場について、「国内では、SDS導入の利点はデータ保有量の多い大企業でより高く認識されている。導入判断も、コストを削減できるかどうかを基準にする傾向が強いことから、SDSの導入効果が発揮されやすい大企業を中心に国内市場の発展が進むが、SDS市場全体の形成は緩慢。一方、グローバル市場では既に製品としての地位を確立しつつあるため、今後、外資系ベンダーのSDS製品が国内市場にも浸透していく見通しが高い」と予測している。
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