Pacemakerの制御コマンドを「crm」に戻して運用する:DRBDの仕組みを学ぶ(12)(3/3 ページ)
DRBDを軸に、データを遠隔地にも即時複製して万が一の事態に備える「冗長化/高可用性システム」の構築テクニックを紹介する本連載。今回は、Pacemekerのクラスタ設定と管理のコマンドを、pcsから「crm」に戻して運用する方法を解説します。
システムテストを実施する
設定が正しくできたことを確認していきましょう。
まず、crm_monコマンドで、1号機側のリソースが全て動作していることを確認します。
# crm_mon Last updated: Thu Sep 15 15:54:11 2016 Last change: Thu Sep 15 14:40:56 2016 by root via crm_resource on iscsi-ha2 Stack: corosync Current DC: iscsi-ha2 (version 1.1.13-10.el7_2.4-44eb2dd) - partition with quorum 2 nodes and 7 resources configured Online: [ iscsi-ha1 iscsi-ha2 ] Master/Slave Set: ms_drbd_r0 [res_drbd_r0] Masters: [ iscsi-ha1 ] Slaves: [ iscsi-ha2 ] Resource Group: iscsi portbk (ocf::heartbeat:portblock): Started iscsi-ha1 res_ip (ocf::heartbeat:IPaddr2): Started iscsi-ha1 iscsi-target (ocf::heartbeat:iSCSITarget): Started iscsi-ha1 lun (ocf::heartbeat:iSCSILogicalUnit): Started iscsi-ha1 portunbk (ocf::heartbeat:portblock): Started iscsi-ha1
Mastersが一号機の「iscsi-ha1」、Slavesが二号機の「iscsi-ha2」で、リソースは全て「iscsi-ha1」にあることを確認できました。
続いて、リソースが正常に「移動」できることを確認します。別のターミナルを開いて、crm_monでモニターしているまま、以下のコマンドを実行します。
# crm resource move iscsi iscsi-ha2
全てのリソースが二号機へ移動したことを確認します。
# crm_mon Last updated: Thu Sep 15 15:54:11 2016 Last change: Thu Sep 15 14:40:56 2016 by root via crm_resource on iscsi-ha2 Stack: corosync Current DC: iscsi-ha2 (version 1.1.13-10.el7_2.4-44eb2dd) - partition with quorum 2 nodes and 7 resources configured Online: [ iscsi-ha1 iscsi-ha2 ] Master/Slave Set: ms_drbd_r0 [res_drbd_r0] Masters: [ iscsi-ha2 ] Slaves: [ iscsi-ha1 ] Resource Group: iscsi portbk (ocf::heartbeat:portblock): Started iscsi-ha2 res_ip (ocf::heartbeat:IPaddr2): Started iscsi-ha2 iscsi-target (ocf::heartbeat:iSCSITarget): Started iscsi-ha2 lun (ocf::heartbeat:iSCSILogicalUnit): Started iscsi-ha2 portunbk (ocf::heartbeat:portblock): Started iscsi-ha2
先ほどの結果と違い、Mastersは二号機の「iscsi-ha2」、Slavesは一号機の「iscsi-ha1」となり、リソースは全て「iscsi-ha2」に移ったことを確認できました。
リソースを1号機に戻します。
# crm resource move iscsi iscsi-ha1
以上のコマンドは無事完了しましたでしょうか。
もし、リソースが正しく移動しない場合は、リソース移動のロックが掛かっている可能性があります。この場合は、以下のコマンドを実行してロックを解除します。
# crm resource unmove iscsi
以上で設定が正しく行われていることを確認できました。
今回のまとめ
今回はPacemakerのクラスタを操作するcrmshと、そのコマンドであるcrmの使い方を解説しました。pcsと比べ、それぞれの利点が見えたと思います。今後の環境構築を快適にする手助けになれば幸いです。
次回はDRBDの障害対応として「分かれば簡単 スプリットブレイン復旧法」を解説する予定です。
筆者紹介
澤田健(さわだ けん)
さまざまなIT関連業務経験ののちに2013年よりインフラエンジニアとしての業務に携わる。また、DRBDを始めとするオープンソースソフトウェアのサポート業務にも携わっている。ツイッターでDRBDの情報発信も行っている。TwitterID:@ksawada1979。
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