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SDNで物理ネットワークのテストを楽にする方法SDNで始めるネットワークの運用改善(2)(1/4 ページ)

ネットワーク運用をSDNによっていかに“楽に”できるかを考える本連載。最終回となる今回は、物理ネットワークにSDNを適用し、テストなどに掛かる負荷を低減する方法について解説します。

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 SDN(Software-Defined Networking)を活用し、ネットワーク運用をもっと“楽に”する方法を探る本連載。前回は、SDNやその関連技術についておさらいしました。また、運用上の課題が多い既存ネットワークにSDNソリューションを適用しようとしているものの、十分にその恩恵を受けられていない、あるいは導入に壁があり、やむなく従来の方法でネットワークを運用し続けている企業が多いことを紹介しました。

 今回は、アプリケーション開発や仮想化インフラの運用と、物理ネットワーク運用の手法・特徴を比較しながら、物理ネットワークが抱える課題を解決するための、現状でのSDNの活用方法について考えます。

ポイントは「自動化」――アプリケーション開発を例に

 物理ネットワークの課題を解決する上で重要となるのが「自動化」です。

 例えば、アプリケーション開発におけるテストを考えてみましょう。アプリケーションの品質向上にはテストが不可欠ですが、アプリケーションの規模が大きく、変更サイクルが短くなるほど、変更の度に影響する項目を人間が確認するコストは大きく増加していきます。

図1 かつてのアプリケーション開発サイクル
図1 かつてのアプリケーション開発サイクルの図

 そのためアプリケーション開発の世界では、品質向上とリリース速度を両立するための手法が数多く研究・確立されてきました。その1つが「自動化」です。定型化された繰り返しの仕事を機械に自動処理させることで、人の介在によって起こるミス、手戻りを減らしつつ、同じ事を何度でも「素早く」「正確に」実施できるようになります。

 また近年のアプリケーション開発では、それぞれのフェーズのテストを機械処理可能な形にし、ビルド・テストを自動化したり、さらには自動的なデプロイまで組み合わせたりすることで、アプリケーション開発・改善のスピードと品質を両立しようとする取り組みも広がりつつあります。

図2 アプリケーション開発サイクルに自動化を取り入れた例1
図2 アプリケーション開発サイクルに自動化を取り入れた例1
図3 アプリケーション開発サイクルに自動化を取り入れた例2
図3 アプリケーション開発サイクルに自動化を取り入れた例2

 「自動化」は近年、インフラ運用にも適用され始めています。

 例えばサーバ仮想化環境において、APIの呼び出しによって要求したリソースを構成し、本番環境と同様のテスト環境をスピーディに構築することで、テストの効率化を図るケースが増えています。またインフラ構成をツールに定義することで、インフラのプロビジョニングを自動化したり、オーケストレーションの効率を高めたりする手法も研究されており、さまざまなツールが生み出されています。

 周知の通り、経営環境の変化が速い昨今は、アプリケーションにもスピーディな開発・改善と品質の両立が不可欠となっています。アプリケーションを支えるインフラにも、そうしたスピーディかつ柔軟な変化対応力が求められており、運用の自動化はその実現に不可欠な要素となっているのです。

図4 仮想化インフラ構築、運用(構成変更)サイクルの例
図4 仮想化インフラ構築、運用(構成変更)サイクルの例

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