【Oracle Database 12c】SE1/SEから、新ライセンス「SE2」への移行で注意すべきこと:データベースサポート最前線の現場から(6)(1/2 ページ)
データベース管理システムの運用でトラブルが発生したらどうするか。データベースサポートスペシャリストが現場目線の解決Tipsをお届けします。今回は「SE1/SEから、新ライセンス『SE2』への移行で注意すべきこと」を紹介します。
「Oracle Database 12c(12.1.0.2)」以降のStandard Editionは、従来のライセンス体系であるStandard Edition One(SE1)およびStandard Edition(SE)ではなく、新たなライセンス体系である「Standard Edition 2(SE2)」として提供されます。新しいライセンスということもあり、従来のSE1/SEとの違いや新機能について、多くの企業の方より問い合わせをいただきます。
今回は、SE2への移行で注意が必要となる「ハードウェア制限」と「サポート期間」の違いを紹介します。
SE2のハードウェア制限
SE2では以下のハードウェア制限が設けられています。アップグレードにおいては、この制限を考慮したハードウェアの選定が必要となります。
- 搭載可能なCPUソケット数は2つまで(全OSで共通)
- インスタンス当たり、最大16CPUスレッドまでしか同時に使えない
従来のSEでは搭載可能なCPUソケット数が「最大4つ」でしたが、SE2では「最大2つ」に変更されます。また、CPUスレッド数も「1インタンス当たり最大16CPUスレッドまで」となります。CPUスレッド数については、制限値以下でも以上でもライセンス的な問題はありませんが、16以下に「制御」されることになります。
特に注意が必要なのは、SE2でデータベースのクラスタリング機能である「Oracle Real Application Clusters(RAC)」環境を利用する場合です。SE2でRACを構築するには、「搭載可能CPUソケット数が2つまでのサーバで、1搭載CPUソケット×2ノード」で構成する必要があります。つまり、同時に使用されるCPUスレッドは、1インスタンス当たり8CPUスレッドが最大となります。
なお、SE2がリリースされた当初、Oracle Databaseのライセンスガイダンス「Database Licensing」では、「SE2でRAC環境を構築する場合は、1CPUソケットのサーバで2ノードまで」と記載されていました。CPUソケットが1つしか使えないとなると、ハードウェア選定の面で既存のSE RACからの移行は厳しいと筆者は感じていましたが、後日、「1CPUソケットのサーバで2ノード」ではなく、上記の図のように「搭載可能なCPUソケット数が2つまでのサーバで、1搭載CPUソケット×2ノード」に緩和されたことにより、そのハードルは若干下げられました。
ただし、従来のSEのソケット制限では、Windows、Linux、Solaris on x86互換CPUまたはMac OS(当時の名称)では、「2搭載CPUソケット×2ノード」や「1搭載CPUソケット×3ノード(または4ノード)」のSE RAC環境を構築することが可能でした。しかし、これらの構成はSE2では制限に抵触します。つまり、現在運用しているSE RAC環境がこれらに該当する場合は、将来12c(12.1.0.2)以降へのアップグレードの際にシステム構成やライセンスの検討が必要となります。
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