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国内FinTech市場、2021年度までに808億円規模へ 矢野経済研究所が予測 銀行API、ブロックチェーン、仮想通貨、法環境の整備がカギ

矢野経済研究所が国内FinTech市場に関する調査結果を発表。市場規模は2015年度の約49億円から、2021年度には808億円まで拡大すると予測される。

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 矢野経済研究所は2017年2月9日、国内のFinTech市場に関する調査結果を発表。FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模は、FinTechに関する法律や技術的/物理的環境の整備が急速に進んでいる背景から、2015年度の約49億円から2012年までに808億円規模まで拡大すると予測される。

photo FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測(出典:矢野経済研究所)

 矢野経済研究所は、FinTech市場を「ソーシャルレンディング(融資)」「クラウドファンディング」「投資運用サービス(投資運用や情報提供)」「ペイメント、決済サービス」「ブロックチェーン(プラットフォーム、仮想通貨)」「企業会計(クラウド型会計ソフト、会計・経理クラウドサービス)」「家計簿・経費精算アプリ(家計簿・資産管理、経費精算)」「金融機関向けセキュリティサービス」の8領域に分類して観測。このFinTech市場規模は、これまでの金融機関が提供していなかった革新的なサービスやその基礎技術を提供するベンチャー企業の売上高を基に算出される。

 FinTech市場を取り巻く環境として、まず法律面では、2016年度に銀行法の改正や改正資金決済法(仮想通貨法)の成立、電子帳簿保存法の改正など、FinTech系企業とその周辺ビジネスを支援する法環境の整備が急速に進んだ。技術面でも、金融庁や全国銀行協会を中心に、「銀行API」(金融機関が提供するAPI:Application Programming Interface)の公開について活発に議論が進められている。同じく「ブロックチェーン」についても、幅広い活用に向けた開発が進められている。

 2015年度の国内FinTech市場を上記の領域別に見ると、ソーシャルレンディングとクラウド型会計ソフト領域が市場をけん引した。ソーシャルレンディング領域では、貸し手と借り手のいずれも急速に取引額が増加している。クラウド型会計ソフト領域も、利用者ニーズに応じて金融機関との接続が進み、それに対応する会計事務所などの導入も進んだことで成長したとされる。

 2017年度以降については、既に成長過程にあるソーシャルレンディングとクラウド型会計ソフト領域に加えて、「仮想通貨」が市場を強力にけん引していくと予測される。2016年5月に改正資金決済法が成立し、仮想通貨発行事業者の登録が開始されたこと。それに応じて取引所が増加すること。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会とインバウンド需要の機会から、電子商取引や小売業の新たな決済手段として仮想通貨が広がる可能性が期待できるとしている。

 それ以降も、ブロックチェーンの実証実験や商用事例が増える他、ベンチャー企業同士の連携も進むとされる。また、金融機関や大手システムインテグレーターとベンチャー企業との協業や、銀行APIの公開、「Regulatory Sandbox(規制の砂場)」制度の展開など、環境整備もさらに進むと予測されている。

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