三菱重工が“勝手なAI利用”を解消する仕組みを内製開発 「知見が足りない」中でどう進めた?:2週間で2000人超が利用した仕組みとは
三菱重工業は、現業部門ごとのAI活用のばらつきや業務の属人化を解消するために、2つのシステムを内製開発した。ITインフラや生成AIなどの技術に関する知見が十分ではない中、内製開発をどう進めたのか。
総合重機大手の三菱重工業は、エネルギーや航空、宇宙、防衛など幅広い分野で事業を展開し、複数の事業部門を抱える。各部門が確保できるIT人材には限りがあることから、組織横断でシステム開発を支援する部門を設けていた。
この部門が取り組んだのが、生成AIを全社で安全に活用する仕組みの整備と、顧客対応の効率化だ。生成AIでは、各部門が独自に活用を進めることによる個別最適化を防ぐ必要があった。顧客対応では、担当者が電話やメールで個別に問い合わせに対応していたことから、対応履歴やナレッジが分散し、業務が属人化していたという。
「知見が足りない」をどう乗り越えて内製開発を実現したのか
三菱重工業は、こうした課題の解決に向けて2つのシステムを内製開発した。ITインフラや生成AIなどの技術に関する知見が十分ではない中で、その不足を補いながら開発を進めたという。開発したシステムの特徴と、その進め方を整理する。
開発したのは、生成AIを活用した全社向けAIワークスペースと、顧客からの問い合わせや作業依頼を一元管理するチケット管理システムの2つだ。AIワークスペースではRAG(検索拡張生成)を活用して、社内ナレッジの検索や文書要約を可能にした。チケット管理システムでは、顧客から寄せられる問い合わせや作業依頼をチケットとして一元管理できるようにした。
2週間でアクティブユーザー2000人超、チャット1万5000回を達成
社内の標準サービスとして全社向けAIワークスペースを提供することで、各部門が個別にAIを活用する状況を避けながら、全社で統制の取れたAI活用を進められるようにした。2026年4月に社内で提供を始めたところ、わずか2週間でアクティブユーザーが2000人を超え、チャット利用回数は1万5000回に達するなど、積極的に活用されているという。
チケット管理システムについては、まず1つの部門を対象にリリースし、顧客からの問い合わせや作業依頼の管理を一元化した。これにより設計部門や製造部門などとの情報共有や社内でのエスカレーションがしやすくなり、業務効率化につながったという。三菱重工業は、この仕組みを他の部門にも展開できるように、汎用(はんよう)性を高めたチケット管理システムの開発を進めている。
三菱重工業は、Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービス群を利用して、これらのシステムを内製開発した。同社でシステム開発を担うスタッフは、ユーザーが操作する画面を担うフロントエンドの開発経験はあったものの、サーバ側の処理を担うバックエンドに関する知見が不足していた。そのためAWSでの開発実績を評価し、サーバーワークスを技術パートナーとして開発を進めた。
これらの取り組みを通じて、三菱重工業では内製開発の成熟度が向上し、より高品質なシステム開発や開発期間の短縮につながっているという。サーバーワークスは2026年6月30日、本事例を公開した。
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