PwC、調査結果「2050年の世界」を発表 日本を含む先進7カ国の成長は年平均1.6%程度と予測:経済力が新興国へシフトする動きが2050年まで続く
PwC が「2050年の世界」をテーマに発表した調査レポートを公開。購買力平価による2050年のGDPの世界順位は、1位:中国、2位:インド、3位:米国となり、日本は8位に落ちると予測される。
プライスウォーターハウスクーパース(以下、PwC)は2017年2月7日(現地時間)、「2050年の世界」をテーマにした調査レポート「長期的な経済展望:世界の経済秩序は2050年までにどう変化するのか?(The long view: how will the global economic order change by 2050)」を公開した。このレポートは、PwCが2006年に開発した長期的な世界成長モデルの最新データに基づいて、GDPの世界上位32カ国の2050年までのGDP潜在成長を予想したもの。これら32カ国で、世界のGDP総額の85%を占める。
世界経済の2016〜2050年までのCAGR(Compound Annual Growth Rate:年間平均成長率)は約2.5%で、経済規模は2042年までに倍増すると予想される。主なけん引役は新興市場と開発途上国で、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ロシア、トルコの新興7カ国(E7)の今後34年間の成長率は、同約3.5%と見込まれる。それに対して、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の先進7カ国(G7)は、同約1.6%程度にとどまると予測される。
「世界の経済力は、先進国からアジアやその他地域の新興国へ向けたシフトが引き続き見られる。E7の世界GDPにおけるシェアは2050年までに約50%まで上昇する一方で、G7のシェアはわずか20%強にまで低下する可能性がある」(PwC チーフエコノミストのジョン・ホークスワース氏)
この結果、購買力平価(PPP)による2050年のGDPの世界順位は、1位:中国、2位:インド、3位:米国、4位:インドネシア、5位:ブラジル、6位:ロシア、7位:メキシコとなり、日本は8位に転落すると予測する。市場為替レート(MER)によるGDPでも、中国が2030年までに世界第1位になり、インドも2050年までに世界第3位になるとしている。
なお、世界の経済成長率は2020年までCAGR約3.5%で推移した後に鈍化していくと予測される。以降の2020年代は同約2.7%、2030年代は同約2.5%、2040年代は同約2.4%が見込まれる。これは、先進国や中国などの一部新興国で、労働人口が著しく減少するためとされる。
一方の平均所得では、イタリアが例外となる可能性があるもののG7の2050年の1人当たりGDPは、E7よりも高くなると予測される。具体的には、2016年の米国の1人当たりGDPは中国の約4倍、インドの同約9倍だが、2050年には差は縮まるが、米国の平均所得水準は中国の約2倍、インドの約3倍なる見込み。新興国の所得格差は次第に縮小するが、世界の所得水準が収束するには、2050年以降も時間を要すると予測されている。
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