富士通とオラクル、SPARC64 XIIを搭載するUNIXサーバの新モデル「SPARC M12」をリリース:DB処理高速化に寄与、前モデル比2.5倍の演算処理性能を実現
富士通とオラクルが、SPARCプロセッサを採用したUNIXサーバの新モデル「SPARC M12」の提供を開始。「SPARC64 XII」を採用し、CPUコア当たりの演算処理性能は前モデル「SPARC M10」の最大2.5倍を実現する。
富士通とオラクルは2017年4月4日、SPARCプロセッサを採用したUNIXサーバの新モデル「SPARC M12」の提供を全世界で開始したと発表した。
SPARC M12は、最大2CPU構成の「SPARC M12-2」と、最大32CPUまで拡張可能な「SPARC M12-2S」の2モデルを用意。いずれもCPUは「SPARC64 XII」を採用し、CPUコア当たりの演算処理性能を前モデル「SPARC M10」の最大2.5倍まで高めた。OSは「Oracle Solaris」をサポート、また仮想化機能として「Oracle VM Server for SPARC」をサポートする。
この他、新冷却技術「Vapor and Liquid Loop Cooling(VLLC)」も導入した。VLLCはポンプで冷媒を循環させる減圧気化冷却方式を採用した冷却機構で、従来の冷却方式と比べて冷却効率を約2倍に高めた。データセンター内に多数の「SPARC M12」を設置しても、これまで以上に安心、安全な運用が可能だとしている。
ソフトウェア処理の一部をプロセッサに組み込む「Software on Chip」を実現するSPARC64 XIIでは、Oracle Databaseのデータ処理をメモリ内で実行する「Oracle Database In-Memory」使用時の検索同時実行数をSPARC M10の2倍に拡張。データベース処理のさらなる高速化を実現できるとする。また、CPUの処理性能については、最小2コアから1コア単位で増減できる「CPUコアアクティベーション機能」を導入し、負荷に合わせてマシン構成を柔軟に変更できるようにしている。
上位モデルの「SPARC M12-2S」では、最大16筐体を連結して1台のサーバとして利用でき、1システム当たり3000以上に及ぶ論理CPU構成を可能にする。一方、プライベートクラウド環境に向けて、導入時はスモールスタートで初期投資を最小化しつつ、規模拡大に合わせて段階的に拡張していける。
主な仕様は以下の通り。価格はSPARC M12-2が590万円(税別、以下同)から、SPARC M12-2Sが1583万5000円から。
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