ルネサス、IoT末端デバイスへAIを組み込める新技術「e-AI」を開発 2017年6月提供開始:“よりかしこい”IoTデバイスの実現へ
ルネサス エレクトロニクスが、IoT末端デバイスへAI機能を組み込む技術「e-AI」を用い、ディープラーニングの結果を組み込み機器へ実装する新技術を開発。統合開発環境「e2 studio」対応プラグインを2017年6月にリリースする。
ルネサス エレクトロニクスは2017年4月11日、ディープラーニングの学習結果を組み込み機器に実装する新技術を開発したと発表。その第1弾として、Eclipseを基にした同社のマイクロコントローラー(MCU)/マイクロプロセッサ(MPU)向け統合開発環境「e2 studio」に対応したプラグインの機能限定版を2017年5月末、正式版を2017年6月末に提供を開始する。
同社では、IoT(Internet of Things)デバイスへAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を内蔵する「e-AI(embedded-Artificial Intelligence)」を注力技術の1つと位置付け、MCUやMPUにe-AIを実装する技術開発に取り組んでいる。
今回開発した技術は、以下3つの要素で構成される。
- オープンソースのディープラーニングフレームワーク「Caffe」や「TensorFlow」の学習済み情報を、MCU/MPU統合開発環境でビルド可能な形式に変換する「e-AIトランスレータ」の開発
- e-AIトランスレータの出力結果から、AI情報の実装対象であるMCUやMPUの情報に基づいて、必要なROMやRAMの容量とAIの推論実行処理時間を算出する「e-AIチェッカ」の開発
- ディープインサイトなどが提供する組み込みシステム向けAIフレームワークを、ルネサス製MCU/MPUにつなぐ「e-AIインポータ」の開発
これらを利用することで、ルネサス製のMCU/MPU向け統合開発環境とディープラーニングフレームワークを接続できる。RZファミリー、RXファミリー、RL78ファミリー、Renesas Synergyマイクロコントローラーといった同社のMCUやMPU上でAIの実行を可能にする。
特別企画:IoT アーキテクチャカタログ
グローバルでデジタルトランスフォーメーションが進む中、国内でもIoTに取り組む企業が急速に増加している。だが成功事例が着実に増えつつある半面、大方の企業にとってIoTはまだ高いハードルであるようだ。特別企画「IoT アーキテクチャカタログ」ではそうした国内企業の実態を基に、ハードルを乗り越え実践に乗り出すための情報を包括的に提供していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AIとは何か、人工知能学会会長が語った常識と誤解
人工知能(AI)がブームになっているが、これまでのブームとどう違うのか。AIは、どのような発展段階にあるのか。人間の仕事を奪う「敵」なのか。人工知能学会会長である山田誠二氏の、こうした疑問に答えるような講演を要約してお届けする。 - 「AI」「機械学習」「ディープラーニング」は、それぞれ何が違うのか
「AI」「機械学習」「ディープラーニング」は、それぞれ何が違うのか。GPUコンピューティングを推進するNVIDIAが、これらの違いを背景および技術的要素で解説した。 - コネクテッドカー向けのオープンソース共同開発プロジェクト「Automotive Grade Linux」にオラクルやTIらが加入
Automotive Grade Linux(AGL)に、オラクルやテキサス・インスツルメンツ(TI)など、6社が加入した。AGLのメンバーは、合計で70社以上になった。 - スケールするIoTの迅速な展開を可能にする「AWS IoT」とは何か
米Amazon Web Services(AWS)が2015年10月に「AWS re:Invent 2015」で発表した「AWS IoT」は、デバイスとサービスの間の分離を特徴とする。IoTデバイスはできるだけシンプルなメッセージのやりとりに徹し、AWS上の関連サービスの活用により、クラウド側で各種のアプリケーションを迅速に開発できるようにする仕組みだ。