「バビル2世」のコンピュータを、2017年のテクノロジーで解説しよう:あれって、AIですよね?(1/5 ページ)
手塚治虫が、スピルバーグが、そして全世界の子どもたちがあのころ夢見たテクノロジーは、2017年現在どこまで実現できているのだろうか?――「鉄腕アトム」や「2001年宇宙の旅」に登場したコンピュータやロボットを、現代のテクノロジーで徹底解説する「テクノロジー名作劇場」、第1回は、横山光輝先生の「バビル2世」だ!
「バビル2世」は、1971〜1973年に秋田書店の「週刊少年チャンピオン」に連載されていた、超能力者(エスパー)であり外星人の子孫の少年「バビル2世(浩一)」を主人公とした、横山光輝先生のSF漫画だ。
まずは、テレビアニメ版の主題歌を見ていただこう。歌詞が思い浮かべられるあなたは、現役視聴世代とお見受けする。
第2コーラスの始まりで、「コンピューター」という単語が出て来る。とても賢くて頼りになる、昭和時代のテクノロジーに対するイメージをほうふつとさせる“コンピュータ”だ。バビル2世は、このコンピュータが稼働する「バベルの塔(※)」や、ロデム、ポセイドン、ロプロスという「3つのしもべ」と共に、自分と同じ外星人の血を引く「ヨミ」と戦う。
本稿は、バベルの塔を守るコンピュータの技術を、2017年の技術になぞらえて考察していく。
なお、原作は通信の多くを「無電」と呼んだり、録画が「フィルム」、喋るのが「テープ」、コンピュータからの出力が「紙テープ」だったりしているが、本稿ではそれらはあえて触れない。当時の横山先生は、現代の記録メディアの進歩を知る由もないからだ。
また、SF漫画ならではの実現されていない科学技術も多数登場する。外星圏からの宇宙船、人体改造、さまざまな戦闘ロボット、レーザー兵器、記憶を消す装置、光点滅で催眠術をかける……など。それらは本記事の着目点ではないので、別の専門家に任せることにする。
バベルの塔
旧約聖書に出てくる建物。ヨース・デ・モンペルの絵画が有名。2017年4〜10月、東京と大阪で、ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展が開催されている。
後の漫画、劇場版アニメ「機動警察パトレイバー2」の「エホバくだりて、かの人々の建つる街と塔を見たまえり。いざ我らくだり、かしこにて彼らの言葉を乱し、互いに言葉を通ずることを得ざらしめん。ゆえにその名は、バベルと呼ばる」という暗号信号の一節にも登場する。
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