国内IaaSシェアトップは「AWS」で25%超 一方、国内事業者の「強み」も:「2017年版 中堅中小企業クラウドインフラ活用と展望調査」、ノークリサーチが発表
ノークリサーチが「2017年版 中堅・中小企業におけるクラウドインフラ活用の実態と展望レポート」を公開。企業のクラウド導入意向が高まる中、中堅中小企業はクラウド導入で何を課題にしているのか。利用するクラウド事業者によって、今後の方針や展望に関する傾向が異なることが分かった。
ノークリサーチは2017年6月12日、国内企業700社を対象にクラウドインフラ導入の現状を聞いた「2017年版 中堅・中小企業におけるクラウドインフラ活用の実態と展望レポート」を公開した。これは、IaaS(Infrastructure as a Service)やサーバホスティングサービスといったクラウドインフラの導入、活用状況について、国内企業(全年商・全業種の大企業、中堅中小企業、小規模企業)に2017年4月末から5月前半にかけて行った調査をまとめたもの。有効回答数は700社だった。
直近でクラウドインフラを導入、ないし刷新した企業のうち、最も採用率が高かった事業者はアマゾンデータサービスジャパン(AWS)で、シェアは25.3%に上った。続いてグーグル(Google Cloud Platform)は15.8%、日本マイクロソフト(Microsoft Azure)は14.9%、NECは11.4%、富士通は10.9%だった。
ノークリサーチではこの結果について、「外資系の大手クラウド事業者は、いずれも国内にもデータセンターを開設している。このため、国内のクラウド事業者は昨今、“国内にデータセンターを設けている/海外へデータは出ない”といった立地的な仕様だけでは差別化できなくなりつつある。今後、中堅中小企業へのクラウド普及が進むにつれ、既存の業務システムをクラウドへ移行するケースが増える。その時の移行先にどの事業者を選ぶか。このあたりが今後のクラウド事業者のシェアを左右する」と予測している。
続いて、企業が考えている今後の方針と展望を選定したクラウド事業者別に集計すると、「クラウドとオンプレミスを併用する」「業務システムも含めて、全体をクラウドで刷新する」「オンプレミスへの移行を検討する」の割合が事業者別に分かれた。
例えばAWSを利用する企業(回答件数93)は、「オンプレミスへの移行(回帰)を検討する」の回答率が23.7%で最も多く、次いで「クラウドとオンプレミスを併用」は同21.5%だった。対して、「業務システムも含めた全体を刷新」は同11.8%だった。それに対してNECを利用する企業(回答件数33)は、「業務システムも含めた全体を刷新」と回答した割合が24.2%で最も多く、「オンプレミスへの移行を検討する」と「クラウドとオンプレミスを併用」の割合は数%だった。この傾向は富士通も同じだった。
これらのことからノークリサーチは、「グローバルな外資系事業者を選ぶ企業は、クラウドとオンプレミスの使い分けなどについて、試行錯誤しながら積極的に取り組む場合が多い。それに対して国内事業者を選ぶ企業は“業務システムも含めて、全体を刷新する”割合が相対的に高い。今後、クラウドインフラの活用と合わせて、既存の業務システムも見直そうとする動きは一層活発になっていく」と推定。「クラウドインフラ活用の今後を見据えるには、クラウド事業者の傾向差についても把握しておくことが重要になってくる」と提言している。
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