正しい「残業ゼロ」の実践法:仕事が「つまんない」ままでいいの?(30)(2/4 ページ)
上層部は「残業ゼロ」と言い、ユーザーは「何とかしろ」と言う。どっちの言うことを聞けばいいのでしょか?
「残業ゼロ」と言う上層部と「何とかしろ」と言うユーザー
私も以前、強制的に「残業ゼロ」にさせられた経験があります。ある会社の情報システム部で、プログラマーとして常駐していたときの話です。
当時私は、ユーザーから寄せられる改善要望に対応したり、不具合を修正したりする仕事をしていました。情報システム部のモットーは「ユーザー第一」。「寄せられるユーザーの要望にはできるだけ応える」ことが、私たちに与えられていたミッションでした。
ユーザーからの改善要望は絶えずあり、「案件を片付けても、片付けてもたまっていく」という状態でした。現場は常に忙しく、仕事を終えて会社を出るのが夜遅くなることも、しばしばありました。
そんなときです。常駐先の上層部から「来月から残業をゼロにします」と言われたのは。何でも、常駐先企業の業績が予定よりも思わしくなく、一時的にコスト削減をする必要があるとのこと。
「改善要望がこんなにあるのに、残業ゼロなんて無理だよ」……開発現場にとっては、正直「ムチャぶり」です。けれども、顧客の方針ですし、逆らうわけにもいきません。
一方、突然「残業ゼロ」と言われても、ユーザーの改善要求は減りません。「オレたちの仕事をやりやすくするのが情報システム部の仕事だろう」と言わんばかりです。
上層部は「残業ゼロ」と言うし、ユーザーは「何とかしろ」と言う……そのはざまで、正直、困ってしまいました。これをクリアするためには、ユーザーの改善要望を断るしかありません。
でも、ユーザーに「できません」と断るのも嫌なものです。しかも私たちは外部の人間なので、ユーザーに強く言うのがなかなか難しかったのです。
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