教えて! キラキラお兄さん「インターンで実績は作れますか?」:プロエンジニアインタビュー(6)(3/4 ページ)
インターンはエンジニアの「虎の穴」なのか――「Gunosy」の共同創業者 関喜史さんに聞いてみた。
「もう一度起業したいかと聞かれたら?」
Gunosy創業者の3人は、実はそれぞれ別々の会社に就職するつもりでいた。その経験から、起業を志す人に対して関さんが語るのは、次のような話だ。
「モノを作りたい人は、まず作ったらいい。周囲の反対の中で作るぐらいでちょうどいい」
高い成長率を期待されるスタートアップ企業を成功させるには、無理なことを実現する必要がある。ほとんどの場合はうまくいかない。周囲に反対されても取り組むような「やむにやまれぬ思い」も必要だし、運も必要だ。関さんも「運が良くてできた部分はある」と振り返る。
「『起業すればいい』とただ言っちゃうと、その大変さを伝えていないことになる」
関さんは、学生起業をむやみに勧めることには反対の立場だ。「もう一度起業したいかと聞かれたら、嫌だと言うかもしれません」と苦笑いする。
ビジネスと学術の両輪で回す
研究者20%、会社80%──これが関さんが考える自分のパワー配分のバランスだ。Gunosyの会社組織としても研究開発に力を入れていく考えだ。「学術研究(アカデミア)とビジネスを両輪で回る会社が伸びている」と関さんは話す。
ベンチャー企業には余力はない。それでも関さんは「無理やりにでも学会発表は続けるし、つらくても博士号は取る」という姿勢を貫いてきた。ビジネスと学術研究、どのように折り合いを付けたのだろうか?
「たぶん両方ともうまくいく──というより、片方だけではうまくいかないと思っていた」と関さんは表現する。学術研究の領域の仕事をビジネスの中で実施してきた。グノシーで得られた知見が、関さんの博士論文に反映されている。「特殊なケースだったとは思う」と、振り返る。
最近発表された同社の取り組み「クリックベイト(釣り記事)対策」は、研究開発分野での挑戦だ。いわゆる「釣り記事」と呼ばれる、タイトルの期待と記事の内容に落差があり「読んだ後にユーザーが不快になるような記事」を機械的に特定、予測する。
そのために重要なのが、ユーザー行動解析に基づくコンテンツの品質評価の手法を確立することだ。記事ページを見たユーザーの滞在時間、スクロール速度、SNSシェア数などの行動を調べ、評価する。利用者からのフィードバックを基に仮説を蓄え、ユーザーの行動を調べてモデル化していく。そのための実験は既に開始している。この分野では、テキスト解析、自然言語処理の知見が活用できる。
「釣り」記事とそうではない記事の線引きは難しく、単純なルールに落とし込むことができない。そこでユーザー行動解析による品質評価が決めてとなる。挑戦的な取り組みだが、研究開発としての新規性と成果が期待できる分野ともいえる。これが、関さんがいう「学術研究とビジネスの両輪を回す」ことの1つの例なのだろう。
「ニュースに対するユーザーの行動のデータを持っている会社はあまりない。世の中で解かれていない問題の1つだ」と関さんは強調する。ニュースアプリを運営するGunosyならではの強みを生かせる分野ということだ。
「3年以内に、トップカンファレンスに論文を通せる会社にしたい」。そう関さんは意気込んでいる。
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