IBMがデータベース製品をリブランド 今後、MicrosoftやOracleも大きく変わる予感:Database Watch(2017年上半期特別編 1)(1/2 ページ)
企業活動をはじめ、あらゆる社会活動で生成される「データ」。このデータをうまく活用できない企業は「この先、生き残れない」などと言われますが、2017年はこの動きがますます加速しています。今回は夏休み特別編として、2017年上半期のデータベースクラスタの話題を振り返ります。
IBMがデータベース製品をリブランド DB2から「Db2」へ
2017年6月下旬頃、米IBMのWebサイトおよび開発者向け無償版「Db2 Developer Community Edition」の公開を伝えるプレスリリースで、「DB2」の表記が全面的に「Db2」に変わり、データベースクラスタの間でちょっとしたざわつきが起こりました。「入力ミスしているよ」「“b”が小文字になっただけだし、大きな違いはない。ただの表記揺れだろう」「いや、全面的に変わっているので、誤入力ではないのでは?」「確かに表記をわざわざ変えるということは、何らかの意図があるはずだ」など。
あらためて2017年7月14日、日本IBMはプレス向け説明会を開き、クラウド向けデータベースのdashDBを含む、全てのリレーショナルデータベース製品のブランド名を、(DB2から)「『Db2』に統一した」意図を説明しました。
リレーショナルデータベースは長い間、「表形式(行指向)」を想定していました。しかし2017年8月現在は、もうそうとは限りません。実際にDb2は、XML(eXtensible Markup Language)やJSON(JavaScript Object Notation)、あるいは列指向など表形式(行指向)以外のデータ形式を早々と取り込んできました。つまりDb2は、リレーショナルデータベースでありながらも、XMLデータベースやカラムデータベースの性質も持ち合わせるように進化しています。
また昨今のデータベースで多様化が進んでいるのはデータ形式だけではありません。データの場所もクラウドへと広がっています。2014年10月、IBMはクラウドデータベースサービスの「dashDB」を発表しました。発表当時の位置付けとしては、IBMが提供するPaaS(Platform as a Service)であるIBM Bluemix上で提供されるデータベースサービス、つまり、Bluemixというクラウド環境向けのものというイメージでした。ちなみに最近ではトランザクション向けや分析向けもリリースされています。
さて、Db2のリブランドは、大ざっぱに捉えると「『DB2』も『dashDB』も、リレーショナルデータベース製品はまとめて『Db2』にする」ということになります。実際に、これまでの「dashDB for Transactions(dashDB TX)」は「Db2 on Cloud」に、「dashDB for Analytics」は「Db2 Warehouse on Cloud」と名称が変わりました。
そうなると「dashDB」が消えてしまうように思えますが、心配はいりません。もともとdashDBは、DB2の技術をBluemixに展開したようなものです。コア技術は、DB2がホストの時代から脈々と開発が続けられているデータベースエンジン「Common Analytics Engine」で共通しています。いったん名称表記だけ枝分かれしただけ、と言えますかね。マンドン氏は、「何よりデータ(Data)が重要であること、“Data without Limits”であることを示すために、データのDだけ大文字で示した」と説明していました。
とはいえ肝心なのはブランド名より中身です。マンドン氏は今後のDb2の戦略について、「IBMは今後も、高い可用性、IBM Db2 BLU Accelerationの性能強化、Index機能追加などに投資していく」と話していました。また導入のハードルを一層下げていくために、クラウド向けサービスの「Db2 on Cloud」に柔軟な料金プランや管理ツールにおけるユーザーインタフェースの改良を進めていくとのことです。
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