再考、Windows OSのライフサイクル――安心して2020年を迎えるために:山市良のうぃんどうず日記(106:特別編)(3/3 ページ)
Windowsのサポートライフサイクル期限が近づくたびに、サポート終了の影響やアップグレードの必要性が話題になります。特に2014年4月にWindows XPのサポートが終了してからがそうです。その理由は、Windows PCやインターネットの普及、Microsoftのサポートポリシーの明確化(や変更)、新たなセキュリティ脅威の登場など、さまざまです。2017年4月にWindows Vistaのサポートが終了しました。次は、Windows 7の番です。
企業は現況調査に「Windows Analytics」の活用を
Windows 7からアップグレードまたはリプレースするとしたら、Windows 10ということになるでしょう。Windows 10の基本的なハードウェアシステム要件は、Windows 7と変わりません(少なくとも最新のWindows 10 Creators Update バージョン1703までは同じ)。Windows 8.1も選択肢には入るかもしれませんが、Windows 8.1のサポートは2023年1月10日に終了します。3年後には再び、アップグレードまたはリプレースが必要になるため、現実的ではありません。
Windows 10にアップグレードまたはリプレースすると、「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」によってアップグレードし続けることにより、事実上、期限なく利用することができます(言い換えれば、以前よりもより短いサイクルでアップグレードすることになります)。
企業において移行作業をスムーズに進め、ビジネスの停止を最小限に抑えるには、事前調査が重要です。Windows 7やWindows 8.1からのアップグレードでは、特定のハードウェアの存在がアップグレードを阻害したり、アップグレードによって特定のアプリケーションが利用できなくなったりする可能性があります。さらに、Windows 10で削除されるOSの機能についても考慮する必要があります。
MicrosoftはWindows 7やWindows 8.1からWindows 10へ、あるいはWindows 10からWindows 10の新しいバージョンへのアップグレードを支援するために、「Windows Analytics」というクラウドサービスを提供しています。
- Windows Analytics(Microsoft)
Windows Analyticsは事前評価のための「Upgrade Readiness」(2017年3月に正式リリース)とWindows 10への移行後の更新管理のための「Upgrade Compliance」(プレビュー)から成り、「Microsoft Operations Management Suite(OMS)」(フリープランあり)のサービスの一部として無料提供されています。
Upgrade Readinessを使用すると、アップグレード対象のWindowsからデータを収集・分析し、アップグレード先のWindows 10バージョンに対するアップグレードの準備状態に関するレポートと、アプリケーションやドライバーの問題の報告、推奨の対応方法の情報などを提供します(画面6)。
前回、東京五輪が開催された1964年は、IBMが「System/360」というメインフレームを発表した年だそうです。System/360は、ICチップを使用した最初の汎用コンピュータであり、「近代的コンピューティングの祖父」といわれているそうです。そのときからこれまで、コンピュータの世代は何度も入れ替わっています。人間よりも早く計算できるのがコンピュータですが、歳をとるのも人間より早いのです。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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