検索
連載

スマートスピーカーが、「スピーカー」と呼べなくなる日「スマートスピーカー」の今と近未来(3)(1/2 ページ)

スマートスピーカーは継続的なアップデートやエコシステムの進化により、できることがどんどん増えてくる点に面白みがある。スマートスピーカーに関する連載の第3回は、近未来に向けて日本のユーザーが期待できることをお届けする。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 もし、Google Homeの日本版を早速購入して試した結果、「期待したほどではない」と感じたとしても、見限るにはまだ早い。スマートスピーカーは継続的なアップデートやエコシステムの進化により、できることがどんどん増えてくる点に面白みがある。ここでは近未来に向け、日本のユーザーがスマートスピーカーに期待できることをお届けする。

できないことをカバーしてくれることに、サードパーティーサービスの価値がある

 第2回のGoogle Homeレビューでは、質問への答えが、一部の利用者の期待に応えられない可能性について紹介した。だが、「TPPって何?」のように、時事用語やはやり言葉の意味を知るのには便利だ。最初の答えで満足できなければ、次々に具体的な質問をしてみるのも手だ。

 とはいっても、例えば前回取り上げた「風邪」のように、病気の説明や治療法などについて、信頼できる答えを一貫して得ようとしても無理がある。このように、特定の専門分野で安定的な答えを得たい場合に、医療関連の確実な情報を提供してくれるサードパーティーのサービスが出てくれば便利だ。

 つまり、スマートスピーカー自体の機能が期待はずれだったとしても、サードパーティーのサービスで補うという手がある。診療予約も、声だけで即座にできるようになってくれればいいのだが。

 筆者は「Amazon Echo Dot」(英語版)を試した際、最初にサードパーティーアプリの「Alexa Skills(以下、Alexaスキル)」のリストを眺め、「どれが面白いだろう?」と悩んで一度使ってみたものの、がっかりして次に移るということを繰り返した。だが、「料理のレシピが知りたい」「自分が信頼しているグルメ情報サイトで、記念日に行くレストランを選びたい」などの目的があり、これにスマートスピーカーの持つ機能が対応できない場合に、サード―パーティアプリがないかを探すほうが良さそうだ。

 Amazon Echo英語版に風邪の治療法を聞いたところ、米国で著名な医療情報サイト「WebMD」のAlexaスキルを有効化するかと聞かれ、「Yes」と答えると、即座に風邪の治療法の説明が読み上げられた。

 ここまでシームレスにサードパーティーのサービスが使えるのなら、「サードパーティーサービスの充実=スマートスピーカーの機能の充実」といえそうだ。

 米国などでは、情報サービス系以外のサードパーティーサービスが提供されている。ショッピングをはじめ、LyftやUberなどのライドシェアリング、ピザなどの宅配サービス、金融機関の残高照会サービスなどがある。

 今後もサードパーティーサービスの幅が広がり、提供されるサービスの内容も高度化するだろう。

コミュニケーション機能は発展の余地がある

 本記事執筆時点では、米国・カナダなど提供地域が限られているものの、Amazon EchoおよびGoogle Homeでは、有線電話やセルラー端末への無料通話が実現している(どちらも、発信はできるが受信はできない)。また、Amazon Echoでは、Echo同士のIP電話ができる。

 例えばGoogle Homeでは音声認識により、話しかけている人を識別するため、「〇〇に電話」と言うと、その人のGoogleアカウントのコンタクトリストから「〇〇」を検索し、自動的に発信を行う。スマートスピーカーの情報サービスと連動すれば、行きたいレストランを見つけ、その店にすぐ電話をかけるといったことができる。

 他のコミュニケーションについてはどうだろうか。LINEの「Clove WAVE」は音声でLINEメッセージを送れるとされる。Amazon EchoやGoogle Homeの場合、「IFTTT」という自動化サービスを使って設定すれば、つぶやいた内容をFacebook、Twitter、Slackなどに送信できる。とはいえ、こうした機能は、スマートスピーカー自体が対応してほしいところだ。

 IFTTTは、スマートスピーカーを使いこなしたい人にとって役に立つサービスだ。コミュニケーション以外にも、例えばこれを使って「Day One」という日記アプリと連携させ、Google Homeに話すことで日記を書けるようになる。


Echo Showは、テレビ電話の他、ドアホンや別室の監視にも使える

 面白いところでは、これも「コミュニケーション」とはいえないのかもしれないが、Googleは2017年10月初旬のイベントで、「ブロードキャスト」という機能を追加すると発表した。これは1台のGoogle Homeに話すことで、家中のGoogle Homeにその音声を流せ、いわば「放送」ができるというもの。広い家なら、「早く支度をしないと学校に遅れるぞ」「夕食ができた」といったメッセージを、大声で叫ぶことなく伝えられて便利なのだろう。

 Amazonが販売を開始した「Echo Show」という機種は、7インチの画面を備えていて、動画コンテンツなどを見られる他、テレビ電話として使える。Amazonは製品説明ビデオで、母親にテレビ電話で料理の作り方を教えてもらうシーンを紹介している。

 Echo Showが成功するかどうかはまだ分からない。だが、離れて暮らしている親とのコミュニケーションのためのツールとして買う人はいるのではないか。

 このように、スマートスピーカーのコミュニケーション機能には発展の余地がある。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る