【トレースフラグ 205】──統計情報が自動更新されたとき、ストアドプロシージャの再コンパイル情報を出力する:SQL Serverトレースフラグレファレンス(8)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ205の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ205」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ205は、データベースの統計情報(SQL Serverトラブルシューティング第40回)を出力する際の出力内容や出力先を変更する設定です。205の対応バージョンは、SQL Serverの全バージョンです。
通常、テーブルが含む一定以上のデータが更新されたとき、統計情報を自動的に更新します。統計情報が更新されると、メモリ上にキャッシュされた実行プランが最適ではなくなる可能性があります。そのため、最新の統計情報を使用して再コンパイルを実施し、最適な実行プランを再作成します。
トレースフラグ205と同3604、同3605を有効にすると、実行プランが再コンパイルされたタイミングで対象オブジェクトなどの情報を出力します。
設定可能なスコープ
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 要 |
動作例
情報を出力するタイミングは、ストアドプロシージャを実行し、再コンパイルした時点です。このとき、トレースフラグ3604と3605のどちらを有効にしたかによって、出力先や出力情報が異なります(3604と3605を両方とも有効にすることもできます)。
トレースフラグ3604が有効になっている場合は、次のようなログをクライアント側に出力します(図1)。ログにはデータベースIDやオブジェクトIDなどの情報が含まれています。
Data related recompile (stale stats): Tbl Dbid: 10, Objid: 565577053, Indid: 2, ModCntTotal: 20000, threshold: 2500 (sublinear heuristic) … 中略 … Data related recompile (new stats available): Tbl Dbid: 10, Objid: 565577053, Indid: 2, current snapshot: 30000, compile time snapshot: 10000, threshold: 2500 (sublinear heuristic)
トレースフラグ3605が有効になっている場合は、トレースフラグ3604で出力したログに加えて次のようなログもエラーログに出力します(図2)。こちらのログではストアドプロシージャの名前や対象行といった情報などを含んでいます。
Recompile issued : ProcName: sp1 LineNo:4 StmtNo: 1 Reason: 2
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2017年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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