【 export 】コマンド――環境変数やシェル変数を設定する:Linux基本コマンドTips(174)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、環境変数やシェル変数を設定する「export」コマンドです。
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、環境変数やシェル変数を設定する「export」コマンドです。
exportコマンドとは?
「export」は、環境変数やシェル変数を設定するコマンドです。
Linux環境で使用する変数には、シェルからのみ参照できる「シェル変数」と他のコマンドからも参照できる「環境変数」があります ※1。
exportには2つの使い方があります。1つは環境変数を定義すること、もう1つはシェル変数を環境変数に、あるいは環境変数をシェル変数に変更することです。
※1 シェルはコマンドを起動する際、環境変数のコピーをそのコマンドに受け渡す(シェル変数は渡さない)。従ってコマンド側ではシェル変数の内容を参照できない。さらにコマンド側で環境変数の内容を変えても、コピー元の環境変数の内容は変わらない。
exportコマンドの書式
export [オプション] [変数名[=値]……]
※[ ]は省略可能な引数を示しています。
exportの主なオプション
短いオプション | 意味 |
---|---|
-f | シェル関数を参照する |
-n | 指定した環境変数をシェル変数に変える |
-p | 全てのエクスポートされた変数と関数を全て一覧表示する(変数名は指定できない) |
シェル変数を環境変数に変える
「export 変数名」で別に定義しておいたシェル変数を環境変数に変えます(画面1)。これを「エクスポート属性を付ける」「エクスポートする」と表現することがあります。
「export 変数名=値」とすることで、変数の定義とエクスポートを同時に実行できます。
シェル変数や環境変数の値を表示するには、echoコマンドを使い「echo $変数名」とします。環境変数に限れば、printenvコマンド(連載第173回)を用いて表示できます。
コマンド実行例
export 変数名
(シェル変数を環境変数に変える)(画面1)
export 変数名=値
(シェル変数を定義して同時にエクスポートする)(画面1)
環境変数をシェル変数に変える
「export -n 変数名」で先ほどとは逆に、環境変数をシェル変数に変更できます。
画面2では、環境変数LANGをシェル変数に変更する前後で、dateコマンドの表示の変化を確認しています。
dateコマンドは現在の日時を表示するコマンドです。環境変数LANGの値に従い、指定された書式(国と言語)で日時を表示します。LANGが定義されていない場合はデフォルトの表示(米国の設定、LANG=C設定相当)となります。
コマンド実行例
export -n 変数名
(環境変数をシェル変数に変える)(画面2)
筆者紹介
西村 めぐみ(にしむら めぐみ)
PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『Accessではじめるデータベース超入門[改訂2版]』『macOSコマンド入門』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。
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