ブロックチェーンを無視するのは、全ての企業にとって危険――ガートナーが調査結果を発表:ブロックチェーン、4割以上の日本企業が既に取り組んでいる
ガートナー ジャパンは、ブロックチェーンへの取り組み状況に関する調査結果を発表した。同社は、ブロックチェーンに取り組まないIT部門のほとんどが、2021年までに自社のデジタルビジネスをリードできないとしており、取り組みを開始すべきと主張する。
ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は2018年4月5日、ブロックチェーンへの取り組み状況に関する調査結果を発表した。この調査は従業員数500人以上の日本企業を対象に、2018年2月に実施した。その結果、42.6%の企業が何らかの形でブロックチェーンに取り組んでいることが分かった。
ガートナーは、ブロックチェーンについて、デジタルビジネス向けの新技術の中でも、低コストで信頼性の高いやりとりを可能にする点で、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)などと性質が異なるとしている。将来社会を変貌させ、企業活動に大きな影響を及ぼす可能性を秘めていることから、ブロックチェーンを検討する企業が増えていると分析する。
同社では、ブロックチェーンについて次のような展望を発表している。
「新しい技術群の一角を占めるブロックチェーンへの理解や試行を進めないIT部門のほとんどが、2021年までに自社のデジタルビジネスに向けた活動をリードできない状況に陥る」
ガートナーは、デジタルビジネスを進めるには主要な新技術を網羅的に理解することが必要だとしている。同社によると、既に7割を超える日本企業がデジタルビジネスに取り組んでおり、IT部門はもとより、企業戦略部門やビジネス部門でも、新技術の動向に敏感になっているという。そのため、社内の技術部門がブロックチェーンへの取り組みを開始していなければ、ビジネス部門は社外に頼ることになってしまう。技術部門は、自社のデジタルビジネスを技術面から支援し、リードするために、ブロックチェーンの理解を社内に広げ、取り組みを継続的に進めることが必要だと主張する。
「2023年までに3割以上の日本企業は、海外の大企業や技術に強みを持つグローバル企業が作り上げるブロックチェーンを用いたデジタルプラットフォームの影響を受けるようになる」
ブロックチェーンには、信頼度の高いやりとりを効率的に実施できるという側面がある。そのためガートナーは、ブロックチェーンを用いたデジタルプラットフォームが、今後国や業界の枠を超えて広がっていくと予測する。近い将来、一部の日本企業は、海外企業が主導するブロックチェーンを用いたデジタルプラットフォーム上でビジネスを進めることになると見ている。
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門のバイスプレジデントを務める鈴木雅喜氏は、「3年以内にブロックチェーンに取り組む日本企業は、60%程度に達すると予測している。ブロックチェーンの応用から社会が変化することは、ほぼ間違いない。ただ、ブロックチェーンへの注目度は高いものの、『どう使えばいいのか分からない』『本当に取り組んでいくべきなのか』などの問い合わせも多く寄せられている。現在、日本企業はブロックチェーンにどのように取り組むべきか揺らいでいるというのが実情だ」という。
「多くの企業がブロックチェーンの技術的特徴やメリットの理解に苦慮している。まだ多くの部分が未知数とはいえ、ブロックチェーンを無視するのは、全ての企業にとって危険だ。企業は、ブロックチェーンへの取り組みを開始すべきだ。まずはブロックチェーンへの理解を社内に広げて、機会、リスク分析を進め、社内外に向けた活用機会を探索することが望ましい」(鈴木氏)
なお、今回の同社の調査によると、ブロックチェーンに取り組んでいないと回答した企業は39.4%、その他/分からないと回答した企業は13.4%だった。
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