Google、「Cloud Memorystore for Redis」のパブリックβ版を提供開始:フルマネージドのインメモリデータストアサービス
Googleは、オープンソースのインメモリKey-Valueストア「Redis」に対応したフルマネージドのインメモリデータストアサービス「Cloud Memorystore for Redis」のパブリックβ版を提供開始した。
Googleは2018年5月9日(米国時間)、2018年4月に予告した通り(参考)、フルマネージドのインメモリデータストアサービス「Cloud Memorystore for Redis」(以下、Cloud Memorystore)のパブリックβ版を提供開始した。
Cloud Memorystoreは、オープンソースソフトウェア(OSS)のインメモリKey-Valueストア「Redis」に対応しており(β版はRedis 3.2.11に対応)、スケーラビリティ、安全性、高可用性を備える。コード変更なしでアプリケーションをGoogle Cloud Platform(GCP)に移行できる。
最近は、データをリアルタイム処理する必要があるアプリケーションが増えており、アプリケーションのレイテンシを低減するために、インフラにキャッシングレイヤーが欲しいケースが出てきている。Redisは高速なインメモリキャッシングを実現し、強力なデータ構造に加え、永続性、レプリケーション、パブリッシュ/サブスクライブのような機能をサポートするという。
例えば、「ソートされたデータセット」のようなデータ構造は、カウンター機能の維持が容易なことから、ゲームのリーダーボードの実装に広く使われている。「シンプルなセッションキャッシング」「数百万ユーザーがプレイするゲームの開発」「高速な分析パイプラインの構築」のいずれの場合でも、開発者は、「VM(仮想マシン)やパッチ、アップグレード、ファイアウォールルールなどを気にすることなく、Redisのパワーを利用したい」と考える。Cloud Memorystoreは、こうしたニーズにぴったりだという。
シンプルで柔軟なプロビジョニング
アプリケーションの可用性やパフォーマンスの要件を満たすRedisインスタンスをデプロイするには、複雑な作業が必要だが、Cloud Memorystoreがそれらを行うので、ユーザーは適切なRedisインスタンスを簡単にデプロイできる。
Cloud Memorystoreは、ベーシックとスタンダードの2つのティアでサービスを提供する。2つのティアは可用性特性が異なるが、いずれも1〜300GBのRedisインスタンスをプロビジョニングできる。Cloud Memorystoreは最大12Gbpsのネットワークスループットを提供し、広い帯域幅が必要なアプリケーションもサポートする。各ティアの機能の概要は下記表の通り。
機能 | ベーシックティア | スタンダードティア |
---|---|---|
最大インスタンスサイズ | 300GB | 300GB |
最大ネットワーク帯域幅 | 12Gbps | 12Gbps |
Stackdriver Monitoringサポート | ○ | ○ |
メモリスケーリング | ○ | ○ |
ゾーン間レプリケーション | × | ○ |
自動フェイルオーバー | × | ○ |
可用性SLA* | × | 99.9% |
*正式版にのみ適用される |
Cloud Memorystoreインスタンスのプロビジョニングはシンプルだ。ティアを選択し、インスタンスの可用性とパフォーマンスの要件をサポートするのに必要なサイズを指定すれば、数分以内にRedisインスタンスが立ち上がる。
プロビジョニングしたら、Cloud Memorystoreは簡単に使える。Redisインスタンスへの接続は、自分の環境で普段使っているツールやライブラリを用いて行える。Cloud MemorystoreクライアントはIPアドレスを使ってインスタンスに接続する。アプリケーションは常に1つのIPアドレスに接続し、Cloud Memorystoreは、フェイルオーバー構成では、トラフィックがプライマリーに誘導されることを保証する。
他の機能
プロビジョニングの他、モニタリングやメモリスケーリングなどについても、Cloud Memorystoreでは、一般的な管理タスクが簡素化される。
セキュリティ
Redisは、最小限のセキュリティ機能しか備えていないため、Cloud Memorystoreではさまざまな機能でセキュリティを高めるようにしている。
例えばCloud Memorystoreでは、Redisインスタンスは、プライベートIPアドレスを使ってデプロイされるので、インターネットからアクセスされることがない。また、GCPの「Cloud Identity & Access Management(IAM)」ロールを使って、インスタンスを管理するためのアクセスをきめ細かく制御することもできる。さらに、Redisインスタンスが、認可されたGCP VPC(Virtual Private Cloud)ネットワークに接続したときにのみ、アクセスされるようにすることも可能だ。
Google Stackdriverとの統合
Cloud Memorystoreインスタンスは、Google Cloudのモニタリングおよび管理スイートである「Google Stackdriver」に、全ての主要な指標を送信する。「Stackdriverダッシュボード」から全てのインスタンスをモニタリングでき、「Stackdriver Logging」を使って、Redisインスタンスに関する洞察を得ることもできる。
シンプルなメモリスケーリング
モバイルアプリケーションの人気に火が付いたら、レイテンシとスループットのニーズに合わせて、大規模なRedisインスタンスをプロビジョニングする必要性が出てくるかもしれない。
Cloud Memorystoreでは、数クリックでインスタンスをスケールアップできる。スタンダードティアでは、アプリケーションへの影響を最小限に抑えながらインスタンスをスケーリングできる。
従量課金制
Cloud Memorystoreの料金は、秒単位の従量課金制となっている。Cloud Memorystoreインスタンスに対して送受信されるトラフィックについては、料金はかからない。
間もなく追加される機能
Cloud Memorystoreには近いうちに、下記の機能が追加される予定だ。
- 新しいリージョンのサポート、
- 「Google Cloud Storage」バケットに対するRDBファイルのインポート、エクスポート
- Redis 4.0のサポート
- Redis Clusterのサポート
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