自動車界を開拓する「DeNA」が、カーシェアリングサービス「Anyca」で目指す未来:クルマがつながる、クルマでつながる(1/4 ページ)
自家用車のシェアリングサービス「Anyca」は、入社3年目の2人のエンジニアの発案から始まった。さまざまな業種とのコラボレーションで守備範囲を広げ続けている同サービスは、どのような体制でプロジェクトを回しているのだろうか。事業責任者とリードエンジニアにお話を伺った。
「Anyca」は「DeNA」のカーシェアリングサービスだ。スマートフォンアプリを使って、好みの車種を探して利用することができる。2015年9月にサービスを開始し、2018年4月時点で会員13万人以上、登録する自動車が5000台の規模に成長した。B2Cカーシェアを含むカーシェア業界で2位に相当する規模だ。
Anycaを推進するエンジニアは何を考えてビジネスを提案し、成長させてきたのだろうか。事業を提案し、立ち上げから参加してきた馬場光さん(オートモーディブ事業本部カーシェアリンググループAnyca事業責任者)と、エンジニアの畑中陽介さん(オートモーディブ事業本部カーシェアリンググループ リードエンジニア)の2人に話を聞いた。
個人の思いから提案、会社の戦略と合致して採用
Anycaの誕生に至る経緯には大きく2つの流れがある。1つは新規事業を提案した馬場さんの「思い」だ。もう1つは、次の柱となる事業を育てたいDeNAの「将来戦略」である。
Anycaを始めようと思ったのは、馬場さんがクルマを買った直後の時期だった。車種は「ジープ チェロキー」。いわゆるSUV(スポーツ ユーティリティー ビークル)で、いろいろな場所へ遊びに行くのに向いたクルマだ。馬場さんは「クルマには維持費がかかる。シェアリングエコノミーで自分のクルマをシェアできれば、資産としても活用できるのではないか」と考えたのだ。
DeNAの経営陣も次の事業の柱となる分野として「自動車」に目を付けており、提案したC2Cカーシェアのアイデアが採用されることになった。入社3年目のことだった。
馬場さんはAnyca立ち上げ以来、エンジニアとして働き、同じチームで、DeNAのCTO川崎修平氏の仕事ぶりも目にした。そして2017年9月からは事業責任者になり、Anycaの事業全体を見る立場にある。
一方、畑中さんはメーカーからDeNAに転職し、3年目の2015年12月にAnycaチームに参加した。今はリードエンジニアを務める。「Anycaのチームに参加してからクルマを買いました」と畑中さんは話す。「子ども2人を連れて電車を乗り継ぐのは大変ですが、クルマなら出掛ける頻度が上がる。また、オーナーとしてクルマをシェアすれば維持費軽減につながります。特に東京はクルマの維持費が高く、所有を諦める人が多いので、1つの解決策になればと思っています」と話す。
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