図面を鋼材に重ねて表示、宮村鉄工が複合現実を応用した建築鉄骨業製造支援ソリューションを開発:経験者が50分かかる作業を15分に短縮
宮村鉄工は複合現実技術を応用した建築鉄骨業製造支援ソリューションを開発した。3次元CADソフトのデータを、MR機器を通して実際の鋼材上に重ねて見ることができる。図面と完成物の関係を直感的に捉えられることに加え、工作時間を短縮でき、図面展開ミスによる手戻りを削減できる。
宮村鉄工は2018年6月1日、MR(Mixed Reality:複合現実)機器を利用した建築鉄骨業製造支援ソリューションを開発し、有償トライアル提供を開始したと発表した。すでに、清水スチールなど5社に提供することが決定している。
同ソリューションは、Webサービスとゴーグル型MR機器向けアプリの2つの要素で構成されている。建築鉄骨業者向けの3次元CADソフトのデータを、MR機器を通して実際の鋼材上に重ねて見ることができ、図面と完成物の関係を直感的に捉えられるという。熟練工の図面展開能力を継承したり、工作時間を短縮したりでき、図面展開ミスによる手戻りを削減できるとしている。
宮村鉄工がこれまでに実施した実証実験では、経験のない作業者でも、熟練工よりも短い時間で製造できたという。具体的には、寄棟造の隅棟部(屋根の傾斜部)に使用する鋼材への罫書きや、鋼材への切り板の仮付けにかかった時間は、入社30年目のベテラン職人が合計50分、入社6年目の一般職人が100分だったのに対して、罫書き経験のない事務職員が同ソリューションを使用した場合は15分で完了した。宮村鉄工では、同ソリューションは、若手技術者の獲得や育成、ミス削減による稼働効率の改善などに寄与するとしている。
価格は、MR機器本体が60万円。導入時のセミナー費用が、1回当たり10万円。WebサービスとMR機器アプリの利用料が、月額10万円。有償トライアルの期間は2018年9月30日までで、2018年10月1日に一般向けの商用サービスを開始する予定だ。
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