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Azureの「Update Management(更新管理)」に“便利に使える”再起動オプションが追加Microsoft Azure最新機能フォローアップ(58)

Azure IaaS上のWindowsおよびLinux仮想マシンに加え、Azure以外の物理/仮想マシンのパッチ管理にも対応したMicrosoft Azureの「Update Management」サービスに、更新管理対象コンピュータの再起動をスケジュールできる機能が追加されました。

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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

2018年3月に一般提供が開始されたUpdate Managementとは?

 Microsoft Azureの「Update Management」サービス(日本語環境では「更新管理」や「更新プログラムの管理」と表現されています)は、本連載第47回でプレビュー提供のサービスとして紹介したものです。

 その後の状況をお伝えするのが遅れましたが、インストール済みアプリケーションやシステム構成の変更を管理するための「Inventory」(インベントリ)と「Configuration Management」(変更管理)サービスとともに、2018年3月から一般提供が開始されています。

 Update Managementは、Azure IaaS(Infrastructure as a Service)上で稼働中のWindowsおよびLinux仮想マシン、Azure以外のハイブリッド環境(オンプレミスの物理/仮想マシンや他社クラウド上の仮想マシン)に対応した更新管理サービスです(画面1)。

画面1
画面1 Update Managementを使用すると、Azure IaaSおよびAzure以外の物理/仮想マシンの更新状態を評価し、更新をスケジューリングできる

 ただし、Update Managementは「Microsoft Update」や「Windows Server Update Services(WSUS)」とは異なり、更新プログラムの配布ポイントとして機能するものではありません。このサービスは、不足している更新プログラムの評価を行い、管理対象で構成された配布ポイントからの更新プログラムのダウンロードとインストールを開始して、必要があれば再起動するという一連のプロセスをスケジューリングするものです。

 Windowsの場合は、通常、Microsoft UpdateまたはWSUSから更新プログラムを取得してインストールすることになります。Linuxの場合は、そのLinuxのディストリビューションが備える更新機能が利用されることになります。

 Azure IaaS上のWindowsおよびLinux仮想マシンについては、仮想マシンの構成ブレードの「更新プログラムの管理」から簡単に有効化して、管理することができます。仮想マシンごとに管理することもできますし、複数の仮想マシンを1つのコンソールで管理することも可能です(同じAutomationアカウントを使用する場合)。

 Azure仮想マシンではない、WindowsおよびLinuxコンピュータ(オンプレミスや他社クラウド上の物理/仮想マシン)も、同じUpdate Managementの同じコンソール上で管理できます。Update ManagementでサポートされるWindowsおよびLinuxのバージョンについては、以下の「Log Analytics」エージェントの要件で確認できます。

Windows Admin CenterはAzureの各種管理サービスと統合可能に

 本連載第48回で紹介したように、MicrosoftはWindows Serverの新しいリモート管理コンソールとして、HTML5ベースの「Windows Admin Center」を提供しています。

 Windows Admin Centerは継続的に機能強化されることになっていますが、最新のプレビュー版「Windows Admin Center Preview 1808」では、Azureの幾つかの管理サービスとの連携を簡素化するセットアップ機能が追加されています。

  Windows Admin Center Preview 2018では、Azure Active Directoryによる認証(Windows Admin Centerのゲートウェイ認証、多要素認証など)、Hyper-V仮想マシンの「Azure Site Recovery」によるレプリケーション保護、そしてUpdate Managementとの連携が可能です(画面2)。連携可能なAzureのサービスは、今後も追加される予定です(「Azure Backup」への対応が予定されています)。

画面2
画面2 Windows Admin Center Preview 1803に追加されたUpdate Managementとの連携機能

所要時間が読めない更新も、新機能「再起動のオプション」でフルコントロール

 Windows 10およびWindows Server 2016以降では、Windows Updateによる更新プログラムのダウンロードやインストール、インストールに伴う再起動を、以前のWindowsのように簡単に制御できなくなりました(グループポリシーを適切に構成することで、再起動を制御することは可能です)。この課題の解決策の一つとして、2018年8月16日にUpdate Managementの「更新プログラムの展開のスケジュール」設定に「再起動のオプション」という新機能が追加され、利用可能になりました。

 「再起動のオプション」を利用すると、展開のスケジュールによる更新プログラムのインストール後に、自動的に再起動させないオプションや、更新プログラムのインストールとは関係なく再起動をスケジュールできます。以下の画面3は「再起動のオプション」がなかったときの設定画面、画面4は現在の設定画面になります。

画面3
画面3 以前の展開スケジュールの設定。更新プログラムのインストールをスケジューリングすると、更新プログラムが要求する場合、自動的に再起動されることになる
画面4
画面4 現在の展開スケジュールの設定。「再起動のオプション」を適切に構成したスケジュールを作成することにより、長時間かかるかもしれない更新プログラムのインストールを業務時間外に確実に実行できる

 画面4に示した例のように、更新プログラムのインストールを夜間に開始し、再起動しないように構成したスケジュールと、翌日の早朝に再起動だけを行うスケジュールを組み合わせることで、ダウンロードやインストールの時間が読めない更新でも、業務時間外に再起動させ、ダウンタイムを最小限にすることができます。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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