Rubyがきっかけで、「www(草生える)」を英語で解説――GitHubのエンジニアが語る、“世界とつながるスキル”:Go AbekawaのGo Global!〜Aaron Patterson編(1/5 ページ)
プログラミング言語「Ruby」のコミュニティーで英語と日本語を駆使して活躍するGitHubのソフトウェアエンジニア、Aaron Patterson(アーロン・パターソン)氏。Twitterで「www(草生える)」を英語で解説したことでも有名な彼は、18歳からプログラマーとして成長を重ねてきた苦労人でもある。そんな彼がRubyに出会ったきっかけと、今考える「オープンソースの世界でエンジニアに必要なスキル」とは?
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。
今回は、プログラム言語「Ruby」のコミュニティーで英語と日本語を駆使しながら活躍し、Twitterで日本独特のネットスラング「www(草生える)」の意味を英語で解説したことでも注目を浴びたGitHub(以下、ギットハブ)のソフトウェアエンジニア、Aaron Patterson(アーロン・パターソン)氏にご登場いただく。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) アーロンさんは、生まれも育ちもソルトレイクシティー(ユタ州)なんですね。
Aaron Patterson(以降、アーロンさん) そうです。1980年生まれです。
阿部川 どんな子どもだったんですか?
アーロンさん (じっと考えこんでから、日本語で)悪いことばっかりしてました(笑)。(ここからは英語で)テクノロジーはいつも身の回りにありましたね。母は幾つかの企業でエンジニアをしていて、父は鉱山技師でした。両親は自宅でも仕事をしていましたから、私も自然にテクノロジーの話をするようになっていました。
よく覚えているのが、“秘密のコード”のことです。9歳か10歳のころ、両親に「ねえ、秘密のコードってどうやって書くの」と聞いたら、母がバイナリーコードのエンコードの仕方を教えてくれたんです。そのときはとても感激したのですが、それを友人たちに教えても誰も使ってくれなくて、がっかりしたのを覚えています(笑)。そんな調子で、たくさんのことを両親から教えてもらいました。
阿部川 そうして、コンピュータのプログラミングに出会ったのですね。
アーロンさん そうです! こんなに素晴らしいものは世の中にないと思いました。
エンジニアの両親のもとで育った少年が、Rubyに出会うまで
Aaron Patterson(アーロン・パターソン)
GitHub ソフトウェアエンジニア
Javaエンジニアとして働いていた際にRubyに出会い、Rubyエンジニア、デベロッパーの道へ。AT&TやRed Hatを経てギットハブに入社し、現在はRubyのデベロッパーとして活躍する傍ら、App SystemsTeamの責任者を務める。Rubyをきっかけに日本語を習得し、日英二カ国語でギットハブのイベントに登壇。Twitterで日本語を知らないユーザー向けに「www(草生える)」を英語で解説したことでも話題になった
アーロンさん 11歳か12歳の時には、確かBASICで最初のプログラミングをしていました。コンピュータに円を描かせる、計算をさせるといった、ごく基本的な内容でしたが。当時は高価だった5MBのハードドライブを手に入れて、大事にしていましたね。高校のときはC++を学びましたが、むしろ数学に夢中になりました。常に正しい答えがあり、答えに到達するにも非常にクリアな方法があるので、私にはとても面白かったのです。
19歳のときにワシントン州に引っ越し、そこでプログラマーとして学費を稼ぎながら大学でコンピュータサイエンスを学ぼうとしました。でも、忙し過ぎて学業との両立が難しくなってしまい、結局仕事を選びました。もともと、勉強は大好きなんですが、当時は既にプロのプログラマーでしたし、独学でいくらでも本は読めると思ったんです。ただ、同じことを誰かに勧める気はありません。エンジニアを目指すなら、学校でプログラミングを学ぶ方がずっと安全なやり方です。
阿部川 なるほど。その後は、ギットハブに入るまでどんなキャリアを歩んでこられたんですか?
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