AzureポータルとOMSの統合が完了、OMSポータルは2019年1月15日に廃止予定:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(59)
Operations Management Suite(OMS)サービスのAzureポータルへの移行完了を受け、OMSポータルの提供が2019年1月15日に終了することが発表されました。現在、OMSポータルを利用している場合は、Azureポータルに切り替えるとともに、提供終了までに変更内容を確認しておきましょう。
OMSポータル機能のAzureポータルへの移行が完了
「Microsoft Operations Management Suite(OMS)」は2015年5月に登場し、OMSのブランドで有料サービスとして提供されてきた(無料のFreeプランあり)、クラウドベースのIT管理ソリューションです。
オンプレミス、Microsoft Azure、Amazon Web Services(AWS)、OpenStack、VMware環境のWindowsおよびLinuxマシンを、ログの収集と分析を中心として横断的に監視できる上、「System Center」製品やAzureの各種サービスとの連携も可能です。また、ソリューションとして各種管理サービスを拡充してきました。
前回(第58回)紹介した「Update Management(更新管理)」は、もともとはOMSの機能として登場したサービスです。
Microsoftは、オンプレミスとクラウド(Azure)の両方を同じ方法で監視および管理できるようにするために、AzureとOMSの統合を進めてきました。
例えば、「Azure Marketplace」からデプロイするAzure仮想マシンには、OMSの管理対象と共通のエージェント(Microsoft Monitoring Agent)が標準で組み込まれています。また、OMS標準のポータル(OMSポータル)機能は「Azure Portal(Azureポータル)」への移行が進められ、2018年8月末に移行が全て完了しました。
現在、OMSのワークスペースは、OMSポータルとAzureポータルの両方で管理できます。新しい機能(Azureトラフィック分析など)は、Azureポータルでのみ提供されている場合がありますが、OMSポータルが持つほぼ全ての機能はAzureポータルで代替できます。これまで、OMSポータルとAzureポータルでは幾つかのソリューションで機能に差異がありましたが、現在は解消されています。
OMSポータル機能のAzureポータルへの統合完了を受け、MicrosoftはOMSポータルの提供を「2019年1月25日」に終了予定であることを発表しました。現在、OMSポータルにはAzureポータルへの移行を通知するメッセージが表示されるようになっています(画面1)。
- OMSポータルのAzureへの移行[日本語]
- OMS portal moving to Azure[英語](最新情報は英語サイトで確認できます)
OMSポータル利用ユーザーはAzureポータルに切り替えを
公式に終了予定が発表されたことで、今後、OMSポータルの使用は推奨されなくなります。これまで、主にOMSポータルを管理に利用していた場合は、OMSポータルのどの機能がAzureポータルのどの場所で利用できるのか、両方のポータルが利用可能なうちに確認しておくことをお勧めします。
例えば、OMSポータルで作成したワークスペースは、Azureポータルの「ログの分析」(Log Analytics)のワークスペースの一つとして参照できます。また、OMSポータルにおけるワークスペースの「概要」ページと、「設定」ページはそれぞれ、Azureポータル側ではワークスペースブレードの「ワークスペースの概要」と「詳細設定」からアクセスできます(画面2)。
オンプレミスのWindowsやLinuxマシン、System Centerとの連携は、この「詳細設定」から行います。Azureポータルの使用に慣れていない場合は、ワークスペースの場所が分かりにくいかもしれません。
OMSポータルで上部のバーにある「Open in Azure」をクリックすると、該当するAzureポータルのワークスペースが開くので、ワークスペースのブレードや個別のソリューションのブレードをダッシュボードに“ピン留め”しておくと便利でしょう(画面3)。
OMSポータルの「ログ検索」(Log Search)機能は、「Azure Log Analytics」サービスに移行されます。また、OMSポータルの「アラート」機能は、「Azure Monitor」の「統合アラート」(Unified Alerts)で管理するようになります。OMSポータルの「更新の管理」(Update Management)ソリューションは、前回紹介したように、Azure仮想マシン単位で簡単に有効化できるなど、Azureポータルでさらに強化されています。
さらに「変更管理」(Change Tracking)についても、以下のMicrosoftのアナウンスにあるように、Azureポータルの「変更管理」機能として、Windowsのファイルとサービスの追跡機能がアップデートされました。
その他、両ポータルで対応する機能対応やAzureポータルでの変更点については、以下の「一般的な質問」で確認してください。
- OMSポータルからAzure portalへの切り替えに関するLog Analyticsユーザーの一般的な質問[日本語]
- Common questions for transition from OMS portal to Azure portal for Log Analytics users[英語]
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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