WSUSによるWindows 10の機能更新プログラムの配布[前編]:企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(32)(1/2 ページ)
企業向けに6カ月間延長されていたWindows 10 バージョン1607のサポートが「2018年10月」に終了するはずでしたが、さらに6カ月延長されることが発表されました。そこで今回は、今最もニーズがあると思われる、Windows Server Update Services(WSUS)を使用した、Windows 10バージョン 1607から新バージョンへのアップグレードをレポートします。
新しさと安定性どちらを重視? どのバージョンにアップグレードするかを決める
Windows Server 2016の導入に合わせて、共通のバージョンであるWindows 10 Anniversary Update(バージョン1607、OSビルド14393.x)を企業内クライアントとして大量導入した企業は多いと思います。クライアントOSとサーバOSのバージョンをそろえることは、共通テクノロジーに基づいているから親和性がより高いと、多くの方が期待していることでしょう。
その一方で、クライアントOSとしてのWindows 10は年に2回、半年ごとに新しいバージョンがリリースされ続けています。親和性を優先して、後継バージョンへのアップグレード(機能更新プログラムのインストール、またはインストールメディアによるアップグレードインストール)をせず、Windows 10 バージョン1607の環境を維持してきた企業は多いと思います。
Windows 10の各バージョンはリリース後、18カ月間、品質更新プログラムのサービスが提供されます。Windows 10 バージョン1607のサポートは2018年4月に終了していますが、Enterprise/Educationエディションに限り、品質更新プログラムのサービス提供が6カ月延長されるという特例措置が行われました(表1)。
Windows 10のバージョン | サービスの終了 | |
---|---|---|
Pro、Pro for Workstation、Pro Education | Enterprise、Education | |
1607(Anniversary Update) | 2018年4月10日に終了 | 2018年10月9日(特例措置) |
1703(Creators Update) | 2018年10月9日 | 2019年4月9日(特例措置) |
1709(Fall Creators Update) | 2019年4月9日 | 2019年10月8日(特例措置) |
1803(April 2018 Update) | 2019年11月12日 | |
1809(October 2018 Update) | リリース後18カ月(2020年4月頃) | |
表1 Windows 10の以前のサポート期限(2018年9月の発表前) |
その期限が「2018年10月9日」(米国時間)についにやってくると思い今回の記事を書き始めました。しかし、2018年9月初めに、Enterprise/Educationエディションに対する特別措置がさらに6カ月延長され、合計30カ月提供されることが発表されました。Windows 10 バージョン1803までも同様です(表2)。
Windows 10のバージョン | サービスの終了 | |
---|---|---|
Pro、Pro for Workstation、Pro Education | Enterprise、Education | |
1607(Anniversary Update) | 2018年4月10日に終了 | 2019年4月9日(特例措置) |
1703(Creators Update) | 2018年10月9日 | 2019年10月8日(特例措置) |
1709(Fall Creators Update) | 2019年4月9日 | 2020年4月14日(特例措置) |
1803(April 2018 Update) | 2019年11月12日 | 2020年11月10日(特例措置) |
1809以降の9月リリース | 18カ月 | 30カ月 |
1903以降の3月リリース | 18カ月 | |
表2 Windows 10の新しいサポート期限(2018年9月の発表後) |
また、2018年9月以降のバージョンからは、9月ごろにリリースされる機能更新についてのみEnterprise/Educationエディションに対して「30カ月」のサポートが提供される新たなポリシーが加わりました。Enterprise/Educationエディション以外のサポートは18カ月で変わりませんが、9月リリースバージョンについては、Enterprise/Educationエディションに対して30カ月のサポートが提供されることが固定化されました(3月リリースはエディションに関係なく18カ月)。これは発表されたばかりですし、少し複雑なので「Windows lifecycle fact sheet」の英語ページで最新情報を確認してください。
- Helping customers shift to a modern desktop[英語](Microsoft 365 Blog)
- Windows lifecycle fact sheet[英語](Windows Support)
現在、Windows 10 バージョン1607(Enterprise/Education)のクライアントPCを使用中であれば、セキュリティを維持するためには、6カ月以内に後継バージョンにアップグレードする必要があります。
課題となるのは、“どのバージョンにアップグレードするか”という点です。Enterprise/Educationエディションに対する特例の6カ月延長措置は、現状、バージョン1803までに対して行われています。その後のバージョンは新たなポリシーが適用されます。アップグレードのサイクルをできるだけ長くしたければ、30カ月サポートされる9月リリースを選択するとよいでしょう。
Windows 10のあるバージョンがリリースされ、長時間経過していれば安定しているというわけではないことは、経験上感じていることと思います。毎月少なくとも1回は「品質更新プログラム」のインストールで再起動が必要になりますし、多数のバグが修正される一方、不具合の影響でアンインストールが必要になることもあります。
次のアップグレード作業をできるだけ先伸ばしにしたければ、最新バージョンにアップグレードするのがよいでしょう。もちろん、仕様変更や既知の問題が、企業の業務遂行に影響があるかどうか(業務アプリとの互換性や、使用していたポリシーによる利用環境のカスタマイズの引き継ぎなど)確認しておく必要があります。
サーバOSとの親和性に期待するなら、間もなくリリースされる「Windows Server 2019」と同じバージョンの「Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)」にアップグレードするのも良いかもしれません。このバージョンは9月リリースで、EnterpriseおよびEducationエディションには30カ月という新しいサポートポリシーが適用されます。
Windows Server 2016は10年サポートの長期サービスチャネル(Long-Term Servicing Channel:LTSC)製品であるため、クライアントPCを先行的に最新バージョンに移行し、その後、Windows Server 2016をWindows Server 2019に移行するのです。
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