「Windows Server 2019」、2018年10月に正式リリース:ハイブリッド、セキュリティ、アプリケーションプラットフォーム、HCIに重点
Microsoftは、Windows Serverの次期バージョン「Windows Server 2019」の正式提供を10月に開始すると発表した。
Microsoftは2018年9月24日(米国時間)、米国フロリダ州オーランドで開催中のITプロフェッショナル向けカンファレンス「Microsoft Ignite 2018」において、Windows Serverの次期バージョン「Windows Server 2019」の正式提供を10月に開始すると発表した。
加えてWindows Server 2019と「Microsoft Azure」のハイブリッドシナリオをサポートするため、「Windows Admin Center」をバージョン1809へとアップデートしたことを明らかにした。
Windows Server 2019は、現行の「Windows Server 2016」を基盤として構築されている。Windows Server 2016は、急速に普及が進んだWindows Serverであり、世界で1000万インスタンスがデプロイされているという。
Windows Server 2019は、Microsoftの「長期サービスチャネル」(Long-Term Servicing Channel:LTSC)の次期リリースとなる。LTSCでは、従来のように5年間のメインストリームサポートと5年間の延長サポートが提供されるが、更新プログラムで新機能が追加されることはない。
Windows Server 2019は4つの重要分野、ハイブリッド、セキュリティ、アプリケーションプラットフォーム、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)で、データセンターのモダナイゼーションを支援するように設計、開発されている。
ハイブリッド
Microsoftは、「オンプレミスとクラウド環境を連携させるハイブリッドアプローチは、顧客のモダナイゼーション戦略の中核要素だ」と述べている。既存のWindows ServerとAzureサービスを容易に接続できるようにするため、MicrosoftはWindows Admin Centerに、ハイブリッド機能のインタフェースを組み込んだ。
Windows Admin CenterとWindows Server 2019により、顧客はAzureバックアップ、Azureファイル同期、ディザスタリカバリのようなハイブリッド機能を使って、データセンターをAzureに拡張できる。さらに、アプリケーションやユーザーの再構成を行うことなく、ファイルサーバとそのデータをAzureに移行できるストレージ移行サービスも利用できるようになった。
セキュリティ
Microsoftは、「保護」「検知」「対応」の3つを柱にサイバーセキュリティへ取り組んでいる。保護については、機密の仮想ワークロードを保護する「シールドされたVM」を導入済みだ。Windows Server 2019では、シールドされたVMのサポートがLinux VMへと拡張された。
検知と対応に関しては、攻撃やゼロデイエクスプロイトなどを検知する「Windows Defender Advanced Threat Protection(ATP)」をWindows Server 2019で利用できるようにした他、IT環境のセキュリティ体制を強化し、ランサムウェア攻撃に対抗する「Defender Exploit Guard」も同OSに搭載した。
アプリケーションプラットフォーム
Microsoftはアプリケーションプラットフォームについて、開発者のエクスペリエンスにこだわっている。開発者のフィードバックにより、コンテナイメージサイズが小さいことのメリットが分かったことから、Windows Server 2019では、「Server Core」のベースコンテナイメージのサイズを3分の1に縮小したという。
さらに、アプリケーションのモダナイゼーションを支援するため、アプリケーションの互換性、「Service Fabric」と「Kubernetes」のサポート、Windows上でのLinuxコンテナのサポートを向上させた。
加えて、LinuxとWindowsが混在する環境を利用しやすくするため、Windows Server 2019では「Windows Subsystem for Linux(WSL)」を改良し、LinuxユーザーがOpenSSH、Curl、Tarのような業界標準を使いながら、スクリプトをWindowsに移行できるようにした。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)
HCIは、サーバ業界の最新トレンドの一つだ。「Cluster Sets」技術によって2ノードから100ノードのサーバまでのスケーリングを可能にする経済的で高パフォーマンスのソフトウェア定義型ストレージとネットワーキングを用いることにより、Windows Server 2019ではHCIの利用のハードルを下げている。
さらに、「Windows Server Software Defined」プログラムを通じて主要なハードウェアベンダーとパートナーを組み、検証済みの設計による手ごろなコストの強力なHCIソリューションの提供を促進する。
なお、Microsoftの公式ブログで紹介されたFAQによると、Windows Server 2019のサーバロールには「Remote Desktop Server 2019」が含まれる。また、2019年前半に「System Center 2019」もリリースされる予定だ。
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