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Windows 10のOSイメージ展開の新常識(その1)――推奨パーティション構成企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(34)(1/2 ページ)

現在のWindows 10で推奨されるパーティション構成は、初期のWindows 10の標準的なパーティションとは異なります。企業内でWindows 10イメージをベアメタル展開する場合は、推奨されるパーティション構成を考慮することをお勧めします。

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企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内

変更された推奨のパーティション構成

 Windows 10の推奨パーティション構成が、以前とは異なることをご存じでしょうか。その推奨パーティション構成は、以下の公式ドキュメントで説明されています。これを筆者が図にしたものが図1になります。

図1
図1 現在のWindows 10の推奨パーティション構成

 Windows 10を利用中の場合は、「ディスクの管理」スナップインあるいは「DISKPART」コマンドを使用して、現在のシステムのパーティション構成を確認してみてください。以下の画面1は、Windows 10 バージョン1709以前がインストールされていたPCを、Windows 10 バージョン1803に最近アップグレードしたものです。

画面1
画面1 Windows 10 バージョン1709以前がインストールされていたPCをバージョン1803にアップグレードすると、このようなパーティション構成になることがある(上はBIOS/MBRベース、下はUEFI/GPTベース)

 Windows 10 バージョン1709のときは、BIOS/MBRベースのPCでは3つ目(493MB)の回復パーティション、UEFI/GPTベースのPCでは5つ目(904MB)のOEMパーティションは存在しませんでした(C:ドライブより前には非表示の16MBのMSRパーティションが存在します)。

 これらのパーティションは、「機能更新プログラム」によるWindows 10 バージョン1803へのアップグレード時にWindowsパーティション(C:)を縮小して自動作成されたものです。

 それぞれ、前出の図1の推奨パーティション構成と比べてみてください。UEFIシステムの方が大きく違うことに気が付くでしょう。回復(OEM)パーティションがディスクの先頭と最後に2つ存在します。実は、前方の回復パーティションは事実上、空っぽであり、何の用途にも利用されていません。

 なお、画面1はWindows 10 バージョン1709以前のインストールメディアでクリーンインストールしたPCの場合の例です。プリインストールPCの場合は、最近のPCであれば推奨パーティション構成が採用されているはずです。

 Windows 10をクリーンインストールする際、Windowsセットアップが作成する既定のパーティション構成は、現在の推奨パーティション構成とは異なり、従来のパーティション構成を引き継いでいます。従来のパーティション構成とは、Windows 8.1の既定(Default)パーティション構成のそれに近いものです。

 Windows 10のWindowsセットアップがクリーンインストール時に既定で作成するパーティション構成を調べてみると、以下の図2のようになっていました。システムパーティションまたは回復パーティションのサイズが異なる以外は、Windows 8.1の既定のパーティション構成と一致します。

図2
図2 Windows 10のWindowsセットアップがクリーンインストールで作成する既定のパーティション構成

 Windows 8.1では、BIOS/MBRベースのシステムパーティションの既定サイズは350MB、UEFI/GPTベースの回復ツール(WinRE Tools)パーティションの既定サイズは300MBです。Windows 7のシステムパーティションの既定サイズは100MBでしたが、それ以前のバージョンアップグレードした場合は、シングルパーティション構成の場合もありました。

 Windows 8.1とは異なり、Windows 10は回復用のカスタムイメージを必要としません。そのため、Windows 8.1の推奨(Recommended)パーティション構成にある回復(Recovery)パーティションを、Windows 8.1と同じ用途(OEMベンダーが工場出荷時イメージを格納するため)に使用することはなくなった点も覚えておいてください。

 Windows 10 バージョン1709までは、前出の図2のパーティション構成でも問題ありませんでした。なぜなら、バージョン1709までの回復ツール、Windows回復環境(Windows Recovery Environment:WinRM)のイメージ「WinRE.wim」のサイズが、要求される空き領域を考慮しても図2のパーティション構成に収まっていたからです。

 しかし、Windows 10 バージョン1803ではそのサイズに収まりきらなくなり、アップグレード時(BIOS/MBRベースは2018年4月のリリース時、UEFI/MBRベースは2018年7月のリリース時)に回復パーティションが追加され、画面1のようになったと考えられます。

 Windowsセットアップのクリーンインストール時に作成される既定のパーティション構成は、最新のWindows 10 バージョン1803(2018年7月リリース)でも変わっていません。そのため、行き場を失ったWinREが「C:\Recovery\WindowsRE」にセットアップされてしまい、回復パーティションが使用されないという残念な問題が発生することになりました。

 つまり、アップグレードでは推奨パーティション構成の一部(ディスクの最後の回復パーティションに回復ツールを配置する)が実装される作りになっていますが、クリーンインストールでは考慮されていないようなのです。この問題については、以下の記事で説明しています。

 Windows 10 バージョン1809(2018年10月2日リリース、ただし、10月6日より提供が停止され、修正版が11月14日に再リリース)のクリーンインストール時に作成される既定のパーティション構成も変更はありませんでした。ただし、WinRE.wimのサイズがコンパクト(32bit版で約321MB、64bit版で約442MB)になったため、Windows 10 バージョン1803のような問題は発生しませんでした。

 2018年10月2日にリリースされたWindows 10 バージョン1809、Windows Server 2019、Windows Server, version 1809、その他のエディション(Windows 10 IoTなど)は、Windows 10 バージョン1809で報告されたユーザーファイル消失問題の影響で、2018年10月6日から提供が一時停止され、11月14日に再開されました。詳しくは、以下のブログのアナウンスを参照してください。


 なお、修正版の機能更新プログラムやインストールメディアに含まれるWinRE.wimのサイズは再び肥大化しており、Windows 10 バージョン1803と同様の問題が発生する場合があります。

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