「渋谷発、“強い日本”行」――AIや5Gで“渋谷”という都市はどう変わるのか?:渋谷×都市×IT(2/2 ページ)
AIや5Gなど新しいテクノロジーが登場するのに伴い、都市も変わりつつある。今回は、「渋谷」がどのように変わろうとしているのか、渋谷未来デザインに聞いてみた。
渋谷未来デザインが目指す「強い日本」、そしてITエンジニアに求めることとは
渋谷未来デザインでは、ITを活用した都市生活の新たな可能性を渋谷から世界に向けて提示することで、最終的には「強い日本」へと導き、渋谷区だけではなく社会全体の持続発展につなげることを目指している点も見逃せない。
具体的な取り組みとして、都市間連携デザイン事業を進めており、第一弾として、広島県のAI/IoT実証プラットフォーム事業「ひろしまサンドボックス」において都市間連携を開始している。この連携を通じて、広島県では、県外から多様な企業や人材を呼び込み英知を結集することで、さまざまな産業、地域課題の解決に取り組む。渋谷未来デザインでは、渋谷のみならず東京のスタートアップ企業と広島県をつなぎ、「ひろしまサンドボックス」への参加が促進されるよう連携していくという。
また、海外との都市間連携の取り組みでは、中国広東省深セン市南山区と連携し、スタートアップ企業を対象とした国際的なピッチコンテスト「Nanshan "Entrepreneurship Star" Contest 2018」の国内予選を渋谷で開催。日本代表に選ばれたエアロネクストは、次世代ドローンに必須となり得る技術でNanshan "Entrepreneurship Star" Contest 2018世界第3位となり、渋谷発のスタートアップや先進テクノロジーを海外へとつなぐ役割を果たした。
「渋谷を強くすることで、日本を強くしていきたい。渋谷は、多様性や自由な発想を受け入れる寛容な場所であり、それを実現するプレイヤーが凝縮されていることが大きな魅力となっている。IoT(Internet of Things)やAIなどの先端テクノロジーを活用したスタートアップが渋谷からどんどん出てきて、さまざまなプレイヤーと連携して世界へ発信してほしい。そして、このムーブメントを渋谷から地方に水平展開することで、日本経済全体が盛り上がり、『強い日本』につながっていくと確信している」
そして、強い日本にする先端テクノロジーを扱うITエンジニアは、これから必要不可欠な存在だ。須藤氏は最後に、これからのITエンジニアに求めるものを次のように語った。
「今後のイノベーションは、『企業同士の共創』が重要なカギになってくる。それだけに、ITエンジニアも積極的に異業種との交流を広げて、さまざまな社会的課題をテクノロジーでどのように解決できるかを考えてほしい。それが自身のスキルアップにつながり、新たなビジネスチャンスにつながる可能性がある。また、常に人の目の高さになって、テクノロジーを考えることも重要だ。実際に生活する上で、ITを使うことで『便利になるもの』と『失われるもの』を一緒に考えることで、ITエンジニアとして未来の都市づくりに貢献できるのではないだろうか」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 宮島のストレスフリー観光、AIでどうやって実現する?――ひろしまサンドボックスが作る地方創生とITのちょっといい話
中堅中小企業が1社でITを活用するのは人的にも予算的にも難しい――そのような中堅中小企業に対して地方自治体はどのような取り組みを行っているのだろうか。広島県が企業にITを浸透させるために行った取り組みを紹介する。 - 広島に行けばなにか新しいことができる――広島県が目指す「イノベーション立県」への第一歩とは
「イノベーション立県」を目指す広島県。地域や企業の課題を解決するために行っている3つの取り組みとは。 - 広島県、ソフトバンクやNTT西日本とAPIで連携して、AI・IoT実証プラットフォーム事業「ひろしまサンドボックス」を開始
広島県は、産官学民連携による実証実験事業として「ひろしまサンドボックス」を開始すると発表した。ソフトバンクやNTT西日本とデータ連携基盤を構築し、データ活用で新たなサービスを創出することで、県の産業の持続的な成長を支援する。