GitHub、コミュニティーがOSS貢献者を資金援助できる「GitHub Sponsors」プログラムのβ版を公開:ワークフローの一環として支援が可能
GitHubは、開発者コミュニティーがオープンソースプロジェクトの貢献者を金銭的に支援するための新しいプログラム「GitHub Sponsors」のβ版を公開した。
Gitリポジトリのホスティングサービスを提供するGitHubは2019年5月23日(米国時間)、開発者コミュニティーが、オープンソースソフトウェア(OSS)の設計や構築、メンテナンスを行っている開発者を金銭的に支援するための新しいプログラム「GitHub Sponsors」(β版)を公開したと発表した。「オープンソース開発者の成功を支援するための新たなツール」と説明している。
GitHub Sponsorsの立ち上げに弾みをつけ、コミュニティーによる資金援助を後押しするため、GitHubは「GitHub Sponsors Matching Fund」というファンドも創設した。GitHub Sponsorsで資金援助された開発者1人につき、資金援助の開始初年度に援助額と同額(最大5000ドル)を、このファンドを通じて提供する。
GitHub Sponsorsでは、GitHubアカウントを持っていれば誰でも、開発者プロファイルを持つ資金援助の対象となるあらゆる人を金銭的に支援できる。この支援は、毎月一定額の援助を継続することで行う。
手数料は不要
GitHub Sponsorsは現在、限定的なβ版の段階にあり、少数の開発者がこのプログラムに参加して資金援助を受けている。将来的に、オープンソースプロジェクトへの貢献者は、誰もがこのプログラムで支援を受ける資格を持つようになる。オープンソースプロジェクトへの貢献とは、バグ報告や問題のトリアージ、コードの寄贈、ドキュメント作成、リーダーシップの発揮、ビジネス開発、プロジェクト管理、メンタリング、設計といった活動だ。
次のβ版で資金援助を受けたい場合は、GitHub Sponsorsページでウェイティングリスト(参加待ちリスト)に申し込めばよい。
またGitHubは、オープンソースプロジェクト貢献者への謝意として、GitHub Sponsorsのプラットフォームを無償で利用できるようにした。さらに、このプログラムの開始を記念して、最初の12カ月間は支払処理にかかる料金をGitHubが負担する。提供された全ての資金が開発者のもとへ届けられるという。
GitHubワークフローをベースとした資金援助の手続き
GitHub Sponsorsでは、使い慣れたワークフローの一環として、シームレスに資金援助ができるように工夫されている。
GitHubは、「コントリビューターが質問に答えてくれたときや、問題のトリアージを助けてくれたとき、あるいはコードをマージしてくれたときに、そのコントリビューターのプロファイルに移動するか、ユーザー名にカーソルを合わせるだけで、資金を援助できる」と説明している。
また、コミュニティーコントリビューターの「ホバーカード」から、継続的な貢献者を確認でき、数回クリックするだけで、日々使っているOSSの裏側にいる開発者に資金を援助できるという。
資金援助を受けるオプションや設定
もう少し直接的な方法もある。オープンソースプロジェクトのリポジトリから直接、資金援助オプションを表示できる。「.github / FUNDING.yml」をプロジェクトのマスターブランチに追加すると、「スポンサー」ボタンがリポジトリの上部に表示される。このボタンをクリックすると、そのファイルにリストされている資金援助オプションをネイティブにレンダリングした画面が表示される。
プロジェクトのメンテナーやコントリビューター側であれば、YAMLフォーマットを使って、どのように資金援助を受けたいか柔軟に設定できる。設定内容は以下の通り。
- プロジェクトに貢献している開発者のGitHub Sponsorsプロファイルの表示
- Open CollectiveやCommunity Bridge、Tidelift、Ko-fi、Patreonなどの人気のある資金援助モデルのリスト
- 他の資金援助モデルへのカスタムリンク
GitHubは今回の取り組みについて「より多くの開発者がオープンソースへ参加したり、オープンソースを基盤としたソフトウェア開発を進められる環境を提供したりすることを目標としている。開発者コミュニティーに貢献するために、GitHub Sponsorsを立ち上げた」と述べている。
さらにGitHubは、「現時点では、このプログラムはβ版としてシンプルな機能セットしか備えていないが、コミュニティーの意見を取り入れて拡充していく」としており、フィードバックを募っている。
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