「DDoS攻撃」でサイバー攻撃に対抗してよいの?:セキュリティクラスタ まとめのまとめ 2019年5月版(3/3 ページ)
令和を迎えた2019年5月のセキュリティクラスタ、ゴールデンウイーク中は比較的平穏でしたが、その後は活発な議論が続きました。「IIJによるDDoS対策のためのDNSフィルタリング」「サイバー攻撃に対抗して攻撃したり、捜査対象にマルウェアをインストールしたりする自民党の提言」「無限アラートURL貼り付け事件の結末」が話題となりました。
無限アラートURL貼り付け事件、起訴猶予処分に
止めどもなくアラートのポップアップが続くWebサイトへのリンクをいたずらで貼ったことを理由に、書類送検されていた「アラートループ事件」に動きがありました(関連記事)。5月22日に兵庫地検が不起訴とすることを発表したのです。
喜んでいる方も多くいましたが、不起訴理由が「起訴猶予」という点を気にしている声も少なくありませんでした。起訴猶予とは犯罪の証明が十分でも容疑者の年齢など何かしらの理由があって検察の裁量で起訴しなかったという意味だからです。犯罪ではないという判断ではないのです。
つまり、これからも限りなくアラートのポップアップが止まらないWebサイトを作成すると逮捕、起訴される可能性があるということです。
起訴猶予処分となった男性の取材から被害者が0人だったこと、サイバー月間だったから逮捕されたということが分かります。これに対しては兵庫県警と検事に対して非難の声が多く上がっていました。サイバー月間そのものへの疑問にもつながりました。
また、無限アラートをウイルスだと言い張るウイルス対策ソフト事業者を非難するツイートや、「犯罪だと決めつけたことを無罪だったら謝罪したい」と宣言していたのに、いつの間にかツイートを削除したスマイリーキクチ氏の責任を問うツイートも行われていました。
この他にも、5月のセキュリティクラスタでは次のような話題が注目を集めていました。6月はどのようなことが起きるのでしょうね。
- GoogleがHuaweiのスマホのAndroid OSをサポートしなくなる?
- ファイル圧縮/伸張ソフト「PKZIP」にパスワードが分かる脆弱(ぜいじゃく)性?
- Windowsのリモートデスクトップ(RDP)に深刻な脆弱性、米CERT/CCが発表
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