AIで従業員の退職傾向を察知する「HR Flow」 MatrixFlowが提供開始:1人当たりの採用費は平均53.4万円
MatrixFlowは、従業員の退職リスクなどを予測する人事領域向けサービス「HR Flow」を提供する。AIで退職者の傾向を事前に察知して退職の事前抑止を図り、人材教育などの損失を防ぐ。
MatrixFlowは2019年8月28日、同社のAI(人工知能)構築プラットフォーム「MatrixFlow」で利用できる人事領域向けサービス「HR Flow」の提供を開始すると発表した。
HR Flowは、退職リスク予測など、これまで人事部の担当者が分析していた指標をAIで予測するサービス。MatrixFlowは、同サービスによって隠れた指標が顕在化することで、退職抑止施策を効果的に立案できるとしている。
「87.5%の精度で退職者を予測できた」
一般に企業は、人材の採用や社員に対する教育に投資しており、従業員の退職は損失につながる。HR Flowは、AIで退職者の傾向を事前に察知する。これによって企業は、個別フォローや制度の改善などの施策を実施して退職の事前抑止を図り、こうした損失を未然に防ぐことができる。MatrixFlowでは、事前検証で87.5%の精度(再現率)で退職者を予測できたとしている。
HR Flowは、社内にある人事データを活用してAIを構築する。一般的なAIの構築時に必要なアルゴリズムの選択やアルゴリズムを制御するハイパーパラメーターの調整などは自動化されており、AIに関する知識や経験は不要だ。
なお、新卒採用を対象にマイナビが実施した「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、入社予定者1人当たりの採用費は平均53.4万円。産労総合研究所の「2018年度 教育研修費用の実態調査」によると、教育研修に関する1社当たりの費用総予算額は、2017年度が7703万円、2018年度が8017万円だった。こうした費用は企業にとって先行投資であり、従業員が退職してしまうと回収できない費用になってしまう。
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