1000台規模のKubernetesクラスタを社内構築 サイボウズが明かすインフラ刷新:運用を自動で行うツールを内製(1/2 ページ)
サイボウズでは2018年にインフラ刷新プロジェクトを立ち上げ、1000台規模の社内インフラを刷新する取り組みを行っている。もともとどのような状況で、現在は何に取り組んでいるのか。
総合グループウェア「サイボウズOffice」や業務アプリ構築サービス「kintone」などをクラウドサービスとして提供するサイボウズでは、サービスの運用を自動化するため、コンテナオーケストレーションツールのKubernetesなどを活用したインフラ刷新プロジェクト「Neco」を推進している。
サイボウズではどのようなインフラ刷新を行っているのか、2019年7月22〜23日に開かれたCloud Native Days Tokyoでサイボウズの池添明宏氏が講演した内容を要約してお伝えする。
運用負荷が高い状態をどうにかしたい
サイボウズでは、社内のデータセンター(DC)にVM(仮想マシン)を構築し、アプリケーションをマルチテナントで運用する仕組みを構築していた。しかし、煩雑な手作業などが発生して、運用負荷が高い状態が続いていたという。
こうした状況を改善するため、2018年1月にインフラ刷新プロジェクト「Neco」を立ち上げ、「Amazon Web Services」や「Google Cloud Platform」と同じような機能を提供できるインフラ基盤の構築を目指し、開発を続けている。
具体的には、運用者にとって面倒な手作業(トイル)を削減して自動化に取り組むため、1000台規模のサーバでKubernetesクラスタを構築し、サイボウズの各製品をアプリケーションコンテナとして運用できる環境を用意。さらに、開発者に対してマネージドサービスの形でロードバランサーやモニタリング、データベースを活用できる環境を提供するというものだ。
Necoでは、インフラを刷新するため、Kubernetesクラスタの構築と運用を自動化するツール「Cybozu Container Engine」(CKE)を開発した。なぜ1000台規模のインフラ刷新でパブリッククラウドを選択せずに、CKEを開発してKubernetesクラスタを自前運用することにしたのか池添氏は振り返る。
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