SNSで人気度が高いユーザーのタグをまねるAI技術を開発 東京大学:効果の高いPR手法、インスタグラマー支援など
東京大学の特任研究員である汪雪テイ氏らは、SNSなどで人気度を高められるハッシュタグ推薦技術を開発した。人気度の高いユーザーのタグ利用傾向を人工知能に学習させて、タグを推薦する。
東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻の特任研究員である汪雪ティン氏と同専攻博士課程に在籍する張軼威氏、同専攻の准教授を務める山崎俊彦氏は2019年10月11日、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などで人気度を高められる「ハッシュタグ推薦技術」を開発したと発表した。SNSを用いたオンライン広告の効果推定や効果の高いPR手法の推薦、インスタグラマー支援などに応用できるという。
SNSは閲覧回数やコメント、お気に入りなどの数で、コンテンツの人気度や注目度が評価される。SNSユーザーは、コンテンツに付与されたハッシュタグによってコンテンツを検索することが多く、SNSを用いてマーケティングやプロモーションを実施する場合、コンテンツに適切なタグを付与することが非常に重要になる。
汪氏らが開発した技術は「User-Aware Folk Popularity Rank」(UFP-Rank)という、人気度の高いユーザーが使うタグの傾向を考慮したタグ推薦アルゴリズムを用いる。同アルゴリズムは、汪氏らが2017年に開発した「Folk Popularity Rank」(FP-Rank)というタグ推薦技術を改善したもので、サイバー・バズと共同で開発した。
センスの高い他のユーザーをまねしたタグを推薦
FP-Rankは、投稿されたコンテンツの人気度と付与されたタグの共起関係を解析して、人気度を高める可能性が高く、コンテンツに関連が高いタグを推薦する。UFP-Rankは、人気度の高いユーザーのタグ利用傾向をAI(人工知能)に学習させて、タグを推薦するようにした。人気度への影響力が強くてコンテンツ内容に関連が深く、センスの高い他のユーザーをまねしたタグを推薦できる。意味的に正しく人気度を向上させられるタグを付与できるとしている。
具体的には、タグとコンテンツの人気度の関係と、タグとユーザーの人気度の要素を、それぞれ行列として表現した。こうして、同時に使用するタグ数と使用頻度、共起関係を考慮して、行列の漸化式を反復的に計算した。これによって、各タグの人気度への影響を数値化し、ランク付けする。
実際に汪氏らは、SNSに投稿された約6万枚の画像を学習させたモデルによって、1000枚の画像に推薦タグを付与してSNSに投稿するという実験をした。その結果、投稿後10日目の閲覧数は、一般的なタグ生成AIと比べて2.8倍、FP-Rankと比べて1.2倍になったという。
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