「Rust」言語を採用したAWS、Rustプロジェクト支援を開始:成果物をAWSに保存
AWSは、オープンソースのシステムプログラミング言語「Rust」の採用に続いて、開発プロジェクトをスポンサーとして支援することを発表した。
Amazon Web Services(AWS)は2019年10月14日(米国時間)、オープンソースのシステムプログラミング言語「Rust」について、開発プロジェクトをスポンサーとして支援することを発表した。
Rustは、高速で信頼性が高く、効率的なコードを作成、保守できるように設計されている。2015年に最初の安定版がリリースされて以来、実システムへの導入が大きく進んでおり、GoogleやMicrosoft、Mozillaのような企業がいずれもRustを使用している。
例えばMicrosoftは自社製品の脆弱(ぜいじゃく)性の約7割を占めるメモリ安全性の問題を解決するためにRustが役立つと指摘している(関連記事)。
AWSでもRustの利用は大幅に拡大しており、「Lambda」「EC2」「S3」のようなサービスにおいて、パフォーマンスに敏感なコンポーネント用の言語として採用している。
AWSは先ごろ、軽量のマイクロ仮想マシン(microVM)を数秒で起動できる安全な仮想化技術「Firecracker」をオープンソースとして公開したが、ここでもRustが採用されている(関連記事)。
なお、AWSでユーザーがRustを利用する際には、AWS SDK「Rusoto」が利用でき、AWS LambdaでRustを使うには「AWS Lambda Runtime Rust」の利用を勧めている。
なぜRustを選んだのか
AWSは、Rustのプロジェクトメンテナの説明を引用し、Rustの主な特徴を次のように紹介している。
- パフォーマンス Rustは、極めて高速でメモリ効率が高い。ランタイムやガベージコレクタを使わず、パフォーマンスが重要となるサービスを実現できる他、組み込みデバイスで動作するプログラムを作成でき、他の言語と容易に連携できる
- 信頼性 豊富な機能を備えたRustの型システムとオーナーシップモデルは、メモリ安全性とスレッド安全性を保証し、コンパイル時にさまざまなタイプのバグを解消できる
- 生産性 Rustはドキュメントが充実している。コンパイラのエラーメッセージは分かりやすく、使いやすい。周辺ツールも優れており、パッケージマネジャーとビルドツールの統合やスマートマルチエディタサポート、自動入力補完、型検査、自動整形などの機能を利用できる
さらにAWSは、Rustでは以下のような高機能なライブラリが利用できると述べている。
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