「Visual Studio 2026」正式リリース 5000件以上のバグを修正、大幅な性能向上でAI活用を支援:「Visual Studio 2026」何が変わった?
Microsoftは、統合開発環境(IDE)の最新バージョン「Visual Studio 2026」の一般提供を開始した。
Microsoftは2025年11月11日(米国時間)、統合開発環境(IDE)「Visual Studio」の最新バージョン「Visual Studio 2026」の一般提供を開始した。
Visual Studio 2026は、無償の「Community」と有償の「Professional」「Enterprise」の3つのエディションがあり、公式サイトからダウンロードできる。2025年9月から「Insiders Channel」(旧称:Preview Channel)でプレビュー版が提供されていた。
Microsoftはこの1年間で、開発者から報告された5000件以上のバグを修正し、300件の機能リクエストを実装したと報告している。AI(人工知能)駆動型ツールが問題の特定と解決を加速させており、今後もVisual Studioの改善はこれまで以上のペースで進む見通しだという。
Visual Studio 2026の主な変更点
Visual Studio 2026では、パフォーマンスの向上、AI駆動開発の進化、ユーザー体験の再設計、「Visual Studio 2022」からのシームレスな移行、IDEとビルドツールの分離が行われている。
パフォーマンスの向上
起動が非常に高速化され、ユーザーインタフェース(UI)の応答も極めてスムーズになった。UIのハング(応答しない状態)は50%以上削減された。軽快でストレスのない操作が可能となっており、コーディングに集中できる。大規模なソリューションでも、読み込み時間がVisual Studio 2022よりも大幅に短縮されている。
さらに、読み込み中も、UIの高い応答性は維持される。
AI駆動開発の進化
Microsoftは、Visual Studio 2026について「『AIネイティブ』であり、世界初の『インテリジェント開発環境』だ」という。
新しいエージェントと綿密に統合されたAIを日常のワークフローに織り込み、デバッグ、テスト、パフォーマンスプロファイリングがより効率的になった。問題を直感的に診断し、ガイド付き分析情報を使用してコードを最適化して、バックグラウンドタスクを調整することで、より短時間でより多くの成果を挙げることが可能だ。新しいC#およびC++エージェントも提供される。
ユーザー体験の再設計
Fluent UIデザインシステムに合わせたインタフェースの更新により、IDE全体で調和の取れた最新の外観が導入され、使いやすさ、アクセシビリティー、視覚的な分かりやすさが向上している。
また、柔軟な新しい設定システムにより、合理的な使いやすいインタフェースが提供され、ツールとオプションのダイアログが最新設計に置き換えられた。これにより、Fluent対応UI、一元化された登録、改善された永続性といった機能が導入され、構成ワークフローの明確さ、一貫性、拡張性が強化されている。
シームレスな移行
Visual Studio 2026は、Visual Studio 2022のプロジェクトおよび拡張機能と完全な互換性がある。既存のソリューションを開いてすぐにコーディングでき、移行手続きは不要だ。Visual Studio 2022で動作する4000以上の拡張機能は、全てVisual Studio 2026でも動作する。このため、ワークスペース、ツール、プロジェクトはシームレスに移行されるという。
「GitHub Copilot」を活用したアプリケーションモダナイゼーション機能により、.NET 10や最新C++ビルドツールへの移行手順も提供する。GitHub Copilotの新しいC++機能は現在、プライベートプレビュー版が提供されている。
IDEとビルドツールの分離による月次更新
Visual Studio 2026では、IDEがビルドツールから分離された。これにより、.NETやC++のコンパイラに影響を与えることなく、いつでもVisual Studio本体をアップデートできるようになった。ツールチェーンを必要な限り長期間安定させたまま、Visual Studioの自動更新プログラムの配信を毎月受けられる。この更新プログラムでは、新機能、デザインの微調整、生産性向上が実現される。
Visual Studio 2026の新機能や機能強化の詳細は、Visual Studio 2026のリリースノートで紹介されている。
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