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営業部のEUCだけど、契約だけ情シスでやれってこと?――情シスはつらいよコンサルは見た! 情シスの逆襲(4)(3/4 ページ)

オンラインショップをオフショアで開発することにした、老舗スーパーマーケットチェーン「ラ・マルシェ」。開発は順調に進んでいたが、その裏では不穏なうわさが食品業界を飛び交っていた……。

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オフショアってご存じですか?

 初老の男が差し出した名刺には、「ルッツ・コミュニケーションズ 日本支社長 本田修三」と書かれていた。

 「わが社のプロジェクトには、何人ぐらい投入できますか?」

 小塚の問いに、男は柔和な笑みを浮かべながら「7人ほど。さらに要件を詰めていく日本の技術者も2人参加できます」と答えた。落ち着いた物腰だった。

 「合わせて9人……そんなもんなのか?」

 小塚が羽生の方を向いた。

 「この規模なら十分だろう」

 本田はルッツの会社概要を説明してからPCを取り出し、自社が日本の流通業向けに手掛けたというWebサイトを幾つか見せた。いずれもセンス良く使い勝手も良さそうなものばかりだった。

 「有名デパートのオンラインショップを作った実績があるんですね。うん、これはいい!」

 小塚はほおを紅潮させた。その後、具体的なスケジュールなどを話し、キックオフミーティングの日付を決めてから、本田は帰っていった。



 「羽生、本当にありがとう!」

 「たまたま前の開発が終わって手が空いている時期だったらしい。ラッキーだな」

 「早速、発注だ」

 「そうだな。ただ、わが社との契約は初めてだから、一応審査をして取引先登録をしなくちゃならないな」

 「……うーん、そういうのは俺、苦手なんだよなあ。そうだ、乗りかかった船ということで、これも情シスでやってくれないか?」

 「えっ?」

 羽生が少し眉をひそめた。情シスに契約周りだけ押し付けるなんて、あまりにもずうずうしいと思ったのだ。

 「頼むよ。俺がITの発注なんて分からないこと、知ってるだろう? 開発に入ったら、EUC(End User Computing)っていうんだっけ? 営業で全部巻き取って、情シスには迷惑かけないようにするからさ」

 羽生はため息をついた。小塚がこうした依頼をするのはこれが初めてではない。そして、いくら断っても、結局は仕事を押し付けてくることも。

 「分かったよ。仕方ない、とにかく契約まではやってやる」

 「ありがとう。いやあ、本当に助かるよ」

 小塚はそう言うと、意気揚々と自分の部署に戻っていった。

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