73%がパブリッククラウドからオンプレミスに回帰 Nutanix調査:企業のクラウド導入動向調査
Nutanixが発表した企業のクラウド導入動向に関する調査「Nutanix Enterprise Cloud Index 2019」によると、一部のアプリケーションをパブリッククラウドから再度オンプレミスに移行させていた回答者が73%に上った。
Nutanixは2019年11月18日、企業のクラウド導入動向に関する調査「Nutanix Enterprise Cloud Index 2019」の結果を発表した。
今回の調査では、パブリッククラウドからオンプレミスに回帰している傾向がみられた。回答者の73%が、一部のアプリケーションをパブリッククラウドから再度オンプレミスに移行させていた。しかも、5種類以上のアプリケーションをオンプレミスに再移行させたユーザーは22%に上った。
この点についてNutanixでは、要件の変化に合わせてインフラストラクチャを調整可能なハイブリッドクラウドの柔軟性に対する企業のニーズが明確に示されているとしている。
「最もセキュアだと考えるIT運用モデル」は?
セキュリティは、引き続き企業のクラウド戦略に影響を及ぼしていた。クラウドのセキュリティが今後のクラウド導入計画に大きな影響を占めていると回答した割合は60%。所定のワークロードの実行環境を決定する際に、データのセキュリティとコンプライアンスが最も重要な要因になると回答した割合は26%だった。
一方、最もセキュアなIT運用モデルとしてハイブリッドクラウドを挙げた割合は28%で最も多かった。自社のセキュリティ要件に応じて適切なクラウドを選択できる点がその理由とみられる。フルプライベートクラウドとオンプレミスを選択した割合は21%、クラウド非対応のプライベートデータセンターを挙げた割合は13%で、これらを大きく上回った。
4分の1がクラウド技術を活用していない
現段階でクラウド技術を一切活用していないと回答した割合も23.5%あった。地域別では、南北アメリカは21%で、未使用率は最も低い。欧州・中東・アフリカは25%、アジア太平洋は24%だった。Nutanixは、多くの企業がいまだに、エンタープライズクラウドの採用に後れを取っているとしている。ただし、クラウド未使用率は今後急激に減少する見込みだ。回答者の計画によると、クラウドを一切導入していない企業の割合は、今後1年間で6.5%に、2年間では3%になるとみられる。
企業がクラウドを導入する目的で最も多かったのはデジタルトランスフォーメーション(DX)だった。72%が回答した。64%はDXが自社ビジネスの最優先事項だとも回答している。
今回の調査では、クラウド戦略の策定や実行に関する多面的な課題が浮き彫りになった。Nutanixによると、最近ではあらゆるユースケースに対応した万能型クラウドは存在しないことが企業の間で周知されており、クラウドを選定する際のポイントは設備投資の大幅な節約が見込めるという従来の点だけではなくなっているという。
例えば、負荷が予測できないアプリケーションの場合は、ITリソースを急に拡大/縮小可能なパブリッククラウドが最適と考えられるが、負荷を予測しやすい場合はオンプレミスの方が低コストで実行可能なこともある。さらにNutanixは、コストを削減するためには、各アプリケーションを、適切なクラウドサービスと価格設定に対応させて、頻繁に変更される料金を定期的に見直す必要があると指摘する。
注目を集めるハイブリッドクラウド
Nutanixは、こうした状況に柔軟に対応可能な選択肢を提供するのがハイブリッドクラウドだとしている。
NutanixのCIO(最高情報責任者)を務めるWendy M. Pfeiffer氏は「複雑なDX計画への取り組みを各社が続ける中、シームレスで信頼性に優れたクラウドを採用する上で欠かせない要素となるのが、柔軟性とセキュリティだ。企業各社は、ハイブリッドクラウドの理解と採用を進めているものの、あらゆるメリットを生かすことに関しては、いまだに課題が残る。今後数年間は、ハイブリッドコンピューティングのスキルに対する雇用や、最新技術に対応するためのITチームの再教育など、ハイブリッドクラウドを有効活用する方法を各社が見直すと考えられる」と述べている。
なお、今回の調査は、2018年に続いて2回目。調査内容は、現在のビジネスアプリケーションの実行環境やアプリケーション実行環境の将来的な計画、クラウドの課題、ITプロジェクトと比較した際のクラウドイニシアチブの優先順位など。対象は、南北アメリカ、欧州、中東、アフリカ(EMEA)、アジア太平洋(APJ)にわたり、24カ国と地域のIT部門の意思決定者2650人から回答を得た。
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