中堅中小企業が注目すべき、IT活用のための「3つのポイント」とは ノークリサーチ:「具体的な活用場面提示の手間を惜しまない」
ノークリサーチは、年商500億円未満の中堅中小企業に向けたIT活用の注目ポイントを発表した。2020年以降は実証実験的なIT導入で補助金を得ることは難しいとしており、具体的なIT活用場面を提示する手間を惜しまないことが成功の秘訣だという。
ノークリサーチは2020年1月7日、年商500億円未満の中堅中小企業に向けたIT活用の注目ポイントを発表した。複数の市場調査レポートを分析し、ソリューション視点からまとめた結果、「具体的なIT活用場面を提示する手間を惜しまないこと」が成功の秘訣(ひけつ)だとしている。
ノークリサーチは、2019年に多く見られたIT企業の悩みや課題として以下の3点を挙げた。
1.「経営課題」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)」といった抽象的な標語を用いた訴求と提案したいIT商材とのギャップ
2.「テレワーク」や「ワーケーション」など企業の構造改革や意識改革を必要とする啓蒙(けいもう)に伴う現場感覚との乖離(かいり)
3.新しい技術の話題性と補助金を活用した実証実験的な事例構築
訴求と提案したいIT商材とのギャップ
まず、経営課題など抽象的な標語を用いた訴求と提案したいIT商材とのギャップについては、今後モノ志向からコト志向への変化が加速するとし、「コト志向」と「抽象化」の違いを意識した具体的なITの活用場面を提示すべきだという。これは「経営課題は企業の個別事情に起因する内容が多い」ためだ。経営課題を漠然と捉えてしまうと、IT企業が提案するIT商材と顧客企業の経営課題とが大きく乖離してしまう。
ノークリサーチでは、本来「コト志向」とは、具体的なITの活用場面を提示して顧客企業が潜在的に抱えるITの活用ニーズを顕在化させる取り組みだと説明する。「DX」も同様に抽象的なキーワードであり、具体的なIT活用場面への落とし込みが不可欠だ。同社は、こうした具体化の手間を惜しまないことが、IT活用提案の成否を左右すると主張する。
啓蒙に伴う現場感覚との乖離
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