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日本は最新ITによる職場変革が進まず「人材採用」や「トレーニング」にも遅れ、IDCが調査アジア各国などと比べてIT活用に劣る

IDC Japanは「働き方の未来」に関する調査の分析結果を発表した。日本はアジア太平洋地域に比べて、最新ITを利用した職場の変革が遅れており、デジタルスキルを備えた人材が不足しているにもかかわらず、トレーニングや人材の採用に消極的であることが分かった。

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 IDC Japanは2018年11月15日、「働き方の未来(Future of Work)」に関する調査の分析結果を発表した。調査対象は、従業員が100人以上、売上高が10億円以上の企業に在籍する最高責任者(CxO)や最新技術の導入に関わる役職者1425人。

 調査対象国は日本とAPeJ(日本を除くアジア太平洋地域)。具体的には中国、韓国、香港、インド、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、台湾、ニュージーランド、ベトナムである。

 同調査によると、最新ITを利用した職場の変革を「展開済み/展開中」と回答した企業は、APeJの6割に対して日本が3割超と少なく、日本の改革の遅れが目立った。さらに、「最新技術を利用した職場変革に関する具体的な計画はない」と回答した日本企業は4割に上った。

 一方、デジタルスキルを備えた人材が「不足している」と答えた割合は、APeJが3割弱だったのに対して、日本は5割近かった。それに対して、デジタルスキルを備えた人材の不足に対応して会社でトレーニングを実施したり、人材を積極的に採用したりしている割合は、APeJよりも日本が総じて大幅に低かった。


デジタル人材の不足と対応策の実行(出典:IDC Japan

 IDCによると、APeJではミレニアル世代(30代中盤以下の世代)の人口比が高いことから、この世代の望む働き方や価値観に沿って最新ITを活用したワークスペースやワークカルチャーの変革が進められているという。


最新ITを利用したワークスペースの変革状況(出典:IDC Japan

 それに対して日本では、労働人口の高齢化やレガシーシステムの存在など、最新ITの導入とITツールの利活用に対する障害が多い。労働者不足や働き方改革の必要性への認識が高まり、日本でも積極的なIT導入に向けた機運が高まっていると見られるものの、今回の調査結果を見ると、変革が遅れているだけでなく、最新IT導入が今後も進まないことが危惧されるという。

 IDC JapanでPC,携帯端末&クライアントソリューションのグループマネージャーを務める市川和子氏は、「別の調査でもグループウェアやワークフロー、コミュニケーションツールなどの事務系ITツールの導入が日本ではあまり進んでいないことが分かっていた。今回のAPeJとの比較によって、日本のワークスペースの整備が大きく遅れていることが判明した。職場のIT化はもちろんのことだが、ITツールを導入しても使われないということがないように、IT化とデジタル教育、さらにカルチャーの改革を同時に進める三位一体の改革が重要だ」と述べている。

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