Azure Backupの新機能「バックアップエクスプローラー」、プレビュー提供開始:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(99)
企業のIT基盤がオンプレミスを超えてクラウドに拡張されるにつれ、クリティカルな企業データを確実に保護することが重要になります。「Azure Backup」にプレビュー機能として追加された「Backup Explorer(バックアップエクスプローラー)」は、毎日のバックアップの監視を効率的にしてくれるでしょう。
Azure Backupでバックアップできるデータ
「Recovery Services(リカバリーサービス)コンテナー」の機能の一つである「Azure Backup(バックアップ)」は、コスト効率が良く、可用性と信頼性の高いAzureストレージをバックアップ領域として使用する、クラウドベースのバックアップ/復元サービスです。
もともとは、オンプレミスやAzure仮想マシンのWindows Serverにインストールしたエージェント(当時はAzure Backupエージェント)を使用するか、「System Center Data Protection Manager(SCDPM)」のオンラインバックアップ機能に統合された形で利用するサービスとしてスタートしました。現在はオンプレミス、Azure Stack、Azure上にある以下のリソースのバックアップに対応しています。
- Microsoft Azure Recovery Services(MARS)エージェントを使用した、オンプレミスのWindowsマシンのファイル、フォルダ、システム状態(画面1)
- SCDPMまたはAzure Backup Server(ABS)で保護されたオンプレミスのサーバのフルバックアップ(ベアメタル回復)、システム状態、ファイルとフォルダ、Hyper-V仮想マシン、VMware仮想マシン、SQL Server、SharePoint、Exchange
- MARSエージェントを使用したAzure仮想マシン内のファイル、フォルダ、システム状態
- WindowsまたはLinuxを実行するAzure仮想マシン全体(画面2)
- Azure仮想マシンで動作するSQL Serverデータベース
- Azure仮想マシンで動作するSAP HANAデータベース
- Azureファイル共有
バックアップ対象に関するサポートの詳細や価格については、以下のドキュメントを参照してください。
- Azure Backupのサポート マトリックス(Microsoft Azure)
- Azure Backupの価格(Microsoft Azure)
バックアップエクスプローラー(プレビュー)とは?
Azure Backupを使用したバックアップは、AzureポータルやMARSエージェント、SCDPM/ABSコンソールでバックアップジョブの状態を確認したり、Azureサブスクリプション管理者へのアラート通知で監視したりすることができます。
2020年2月初め、Azure Backupの俯瞰(ふかん)的な監視機能を提供する「Backup Explorer(バックアップエクスプローラー)」という機能がプレビューとして利用可能になりました。Azure Backupを利用中の場合は、「Recovery Servicesコンテナー」の「概要」ページに追加された「バックアップエクスプローラー」からこの機能にアクセスできます(画面3)。
- Backup Explorer now available in preview[英語](Microsoft Azure)
「バックアップエクスプローラー」では、同じ「Recovery Servicesコンテナー」を使用するバックアップジョブ、バックアップ済みアイテム、アイテム、バックアップが有効化されていない仮想マシンを横断的に監視することができます。
各項目をドリルダウンして詳細を表示できるため、バックアップの進行状況やトラブルの発生状況、保護の漏れに素早く気が付くことができるでしょう(画面4)。
![画面4](https://image.itmedia.co.jp/ait/articles/2002/18/vol99_screen04.png)
画面4 バックアップされたアイテム(Backup Items)、ジョブ(Backup Jobs)、アラート(Backup Alert)、保護されていない仮想マシン(Backup Not Enabled Virtual Machines)をドリルダウンして効率的に監視する
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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