謎が多い最近の「Windows Update」:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(156)
Windows 10のWindows Updateは、ユーザーがコントロールできる部分が以前に比べて少なくなり、Homeエディションに至っては、半ば強制的と感じているユーザーも多いと思います。Microsoftはそのようなフィードバックに耳を傾けながら、Windows Updateを改良してきました。中には根本的な改良ではなく、突貫工事に見えるものも……。Windows Updateの謎は増えるばかりです。
「更新プログラムのチェック」はクリックしても安心になった?
「Windows 10」の「設定」アプリにある「更新とセキュリティ」→「Windows Update」には、「更新プログラムのチェック」というボタンがあります。
以前のWindows 10では、このボタンを不用意にクリックしてしまい、意図せず「機能更新プログラム」(Windows 10の新バージョン/ビルド)や急いでインストールする必要がないオプションの更新プログラムのインストールが始まってしまい、アップグレードや再起動に長い時間を取られたり、更新プログラムのバグを踏んでしまったりすることがありました。そのため、「更新プログラムのチェック」をクリックする人は、いつしか「Advanced User(上級者)」や「Seeker(探究者、探し求める人)」と呼ばれるようになりました。
Windows 10 バージョン1903からは「更新プログラムのチェック」ボタンのクリックにより、オプションの累積更新プログラムやリリース後間もない機能更新プログラム(バージョン1903の場合はバージョン1909の機能更新プログラム)がすぐにインストールされることはなくなりました。
新しい機能更新プログラムのリリース後しばらくして、また、オプションの累積更新プログラムが利用可能な場合は、「オプションの更新プログラムがあります」と案内され、「今すぐダウンロードしてインストールする」をクリックしない限りインストールされることはなくなりました(画面1)。機能更新プログラムについては、Windows 10 バージョン1803とバージョン1809についても、同様の機能が提供されました(その後、これらのバージョンに対してはバージョン1903以降の機能更新プログラムの自動配布が開始されています)。
突如出現した「ダウンロード」ボタンの謎
Microsoftは、毎月第2火曜日(日本は時差の関係でその翌日の水曜日)に、Windowsと.NET Frameworkの新たなセキュリティ更新を含む「累積更新プログラム」をリリースします。毎月第2火曜日のこの日を「Patch Tuesday」、このリリースを「Bリリース」と呼ぶことがあります。
Microsoftは、Bリリースの翌週の「Cリリース」または、さらに翌週の「Dリリース」として、オプションの累積更新プログラムをリリースします。C/Dリリースは新たなセキュリティ更新を含まず、翌月のBリリースで行われるセキュリティ以外の修正を先行的にプレビューできるように提供されるものです。この他、緊急の更新プログラムが自動配布の対象として定例外でリリースされる場合があります。例えば、緊急性の高いセキュリティ問題への対応や、Bリリースの不具合の修正などです。
Windows 10では、BリリースとC/Dリリースは「リリースされた日」で識別されます。更新プログラムの名前でオプションかどうかを識別できません。一方、「Windows 7」や「Windows 8.1」では、Bリリースは「セキュリティマンスリー品質ロールアップ(マンスリーロールアップ)」、C/Dリリースは「マンスリーロールアップのプレビュー」のように識別することができます。
BリリースとC/Dリリースによるプレビューは、Windows 10 バージョン1703で導入されたスケジュールであり、Windows 10 バージョン1703以降はBリリースとC/Dリリースを識別します。
具体的には、自動更新ではBリリースのみが検出、インストールされますが、C/Dリリースは自動更新の対象外です。そして、C/Dリリースが利用可能になっている時期に「更新プログラムのチェック」をクリックした場合にのみ、C/Dリリースの更新プログラムをインストールすることができます。
「Windows Update for Business(WUfB)」のポリシーが有効になっている場合、または「設定」アプリの「詳細オプション」にある「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」で、機能更新プログラムおよび品質更新プログラムの延期日数を「1日以上」に設定している場合は、「更新プログラムのチェック」をクリックしても、C/Dリリースの更新プログラムは検出されません。
ここまではWindows 10のWindows Updateについてよく知っている人にとっては常識かもしれません。しかし、Windows 10 バージョン1809から少し変わりました。
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