Windows 10 バージョン2004の中に見つけた、懐かしの「Server 2003」:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(161)
Windows 10の最新バージョンは、Microsoftの過去のサーバ製品との識別混乱を避けるために、当初予定されていた「バージョン2003」ではなく、「バージョン2004」として提供されます。詳細なリリース時期やバージョンについて秘密主義的なMicrosoftに対して、外部の識者の中にはHyper-VのPowerShellコマンドレットを使用して予測する人がいるのですが、そのコマンドレットの出力結果は当てにならないこともあります。
Windows 10のバージョンと名称
Microsoftは「Windows 10 Creators Update」以降、新バージョンのビルドを3月と9月に完成させ、バージョン「YY03」または「YY09」(YYMM=YYは西暦下2桁、MMは完成月)として翌月または翌々月に一般提供を行ってきました。
また、「Windows 10(初期リリース)」「Windows 10 November Update(バージョン1511)」「Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)」「Windows 10 Creators Update(バージョン1703)」「Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)」と、新バージョンの特徴や提供時期を示す名称を付けてきましたが、「バージョン1803」以降は「April 2019 Update」のように「<リリース月の英語表現> <4桁の西暦> Update」という名称を一貫して用いています。
バージョンとは別に命名される名称は、Windows 10のバージョン情報に含まれる情報ではありません(画面1)。Windows 10の中をいくら探しても、その名称を見つけるのは極めて難しいでしょう(後述しますが存在します)。
Windows Updateで配布される際も「Windows 10、バージョン2004の機能更新プログラム」のような表現になると思います(本稿執筆時は正式リリース前)。これは主にマーケティング的、ニックネーム的な意味合いで命名されるもので、リリース直後には公式のWebサイト(Windows 10のダウンロードサイトや公式ドキュメント)で「2019年5月の更新プログラム」(May 2019 Updateの場合)と誤訳されることもあります。Microsoftの機械翻訳は多くの場合、「Update」を「更新プログラム」と訳すからです。
「YYMM」のバージョン番号は2020年にリリースされる製品を混乱させる
「バージョン1709」からは、Windows Serverについても「半期チャネル(Semi-Annual Channel、SAC)」の提供が始まり、Windows 10とWindows ServerのSACは、同じバージョン番号で同時にリリースされます。
最新バージョンは当初、「Windows 10 バージョン2003」および「Windows Server, version 2003」を予定していたようですが、5年前(2017年7月)にサポートが終了したサーバ製品「Windows Server 2003」やその他の「バージョン2003」製品との混乱を避けるため、「バージョン2004」になることが2019年11月末に発表されています。
- Announcing Windows 10 Insider Preview Build 19033[英語](Windows Blogs)
その次のバージョンについてはまだ発表はありませんが、当初の予定通り「バージョン2009」のままと予想しています。なぜなら、「バージョン2008」「バージョン2011」「バージョン2012」には「Windows Server 2008」「Windows Small Business Server 2011」「Windows Server 2012」がありますし、「バージョン2010」には「Office 2010」や、Officeサーバ製品である「Exchange Server 2010」や「SharePoint 2010」があるからです。誤解される可能性を最小限にするには、「バージョン2009」しか残っていないといえるでしょう。
名称やリリース時期の予測に利用されてきた「Get-VMHostSupportedVersion」コマンドレット
Windows 10やWindows ServerのHyper-VのPowerShellコマンドレット(Hyper-Vモジュール)には、Windows 10の新バージョンやリリース時期の予測に利用されてきたものがあります。それは、ローカルのHyper-Vでサポートされる仮想マシンの構成バージョンと既定のバージョンを出力する「Get-VMHostSupportedVersion」コマンドレットです。
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