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Mozillaの約250人のリストラ、「Rust」の未来への影響は?Rust Core Teamが「Rust財団」の設立計画を発表

Rust Core Teamは、「Rust財団」の設立計画を発表するとともに、Mozillaが最近発表したレイオフが「Rust」コミュニティーに与える影響について説明した。

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 オープンソースのプログラミング言語「Rust」を開発するRust Core Teamは2020年8月18日(米国時間)、公式ブログで「Rust財団」の設立計画を発表するとともに、Rustプロジェクトの主要スポンサーであるMozillaが最近発表したレイオフがRustコミュニティーに与える影響について説明した。


Laying the foundation for Rust's future(Rust Blog)

 Rustプロジェクトは2010年にMozilla Researchプロジェクトとして最初に構想されたが、2015年のRust 1.0のリリースを機に、Mozillaから独立したプロジェクトの運営とガバナンスを確立。それ以来、自律した組織として活動し、Mozillaは財務および法務面で同プロジェクトを一貫して支援してきた。

 ところが、Mozillaは2020年8月11日(米国時間)にリストラと従業員約250人のレイオフを発表。Rustプロジェクトおよびコミュニティーの活発なメンバーがレイオフ対象に含まれていたことから、Rustプロジェクトへの影響に関する懸念が広がっていた。

 Rust Core Teamはこの状況を踏まえ、Mozillaの動きがRustプロジェクトに与える影響をまず説明した。

Rustプロジェクトへの影響

 Rust Core Teamは、「MozillaのレイオフによってRustプロジェクトの一部のメンバーが個人として重大な影響を受けるのは事実だが、Rustプロジェクトは全体として、こうした事態から回復する力が強い」と述べ、その理由を次のように説明している。「Rustプロジェクトのリーダーやコントリビューターは、経歴も勤務先もさまざまだ。また、プロジェクトでリーダーシップを発揮してきた多くのMozilla従業員は、業務の一環としてではなく、個人の時間を割いてRustに貢献してきた」

 さらにRust Core Teamは、「Rustチームのメンバーは、個人としてプロジェクトに参加している」と強調。RustチームのメンバーであるMozilla従業員は、レイオフの影響を受けても、引き続きメンバーだという。ただしRust Core Teamは、「プロジェクトでの活動を縮小するメンバーも出てくるかもしれない」と認めている。

財団の設立

 Rust Core Teamによると、「Rustプロジェクトの規模拡大と成熟化、そしてRustの利用が進むとともに、既存のプロジェクト組織では対応できない法務上および財務上の問題が出てきた。そこで2019年から、独立したRust財団の設立に関する調査、検討が開始された。Rust Core TeamとMozillaは、その結果を基にRust財団の設立計画を発表。Rust Core Teamは、2020年末までの立ち上げを目指す」としている。

 新財団はまず、Rust、「Cargo」「crates.io」に関連するさまざまな商標とドメイン名を所有する手続きを行い、これらの所有に伴うコストを負担する責任を負う。「その後、財団の役割をどのように広げていくかに関しては、多くの可能性があり、われわれは将来、それらを探索していく」とRust Core Teamは述べている。

 またRust Core Teamは、Infrastructure Teamがこの2年間、プロジェクトの支援に関する特定の一企業への依存を減らし、Rustを支援する企業の拡大に取り組んできたことにも言及した。Rustプロジェクトの独立法人への移行が進む中、Infrastructure Teamは、1社のスポンサーに過度に依存しない体制の確保を継続する計画だ。

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