Microsoft、「Azure Cosmos DB」のサーバレス価格モデルのプレビューを開始:どれだけ安く利用できるのかを解説
Microsoftは、「Azure Cosmos DB」のサーバレス価格モデルのプレビューを開始した。この新しい使用量ベース価格モデルにより、スループットをプロビジョニングすることなく高い費用対効果で利用できるという。
Microsoftは2020年8月19日(米国時間)、フルマネージドNoSQLデータベースサービス「Azure Cosmos DB」のサーバレス価格モデルのプレビューを開始した。この価格モデルでは現在、Core(SQL)APIを利用でき、間もなくMongoDB、Gremlin(グラフ)、テーブル、Cassandraの各APIもサポートされる。この新しい使用量ベース課金モデルにより、スループットをプロビジョニングすることなく高い費用対効果で利用できるという。
2020年5月に「Microsoft Build 2020」カンファレンスで発表されたAzure Cosmos DBのサーバレス価格モデルは、Azure Cosmos DBリソースの利用方法や料金の支払い方法を根本的に変える。
これまで、Azure Cosmos DBでワークロードを実行するには、スループットをプロビジョニングしておく必要があった。プロビジョニング済みスループットは、毎秒リクエストユニット数(RU/秒)で表され、プロビジョニングしたユーザーがデータベース操作で専用に利用できる。このモデルでは、低レイテンシと高可用性SLA(Service Level Agreement)を確保することが可能だ。そのため、このモデルはパフォーマンスの保証を必要とする高トラフィックアプリケーションに適しているが、トラフィックが少ないシナリオには、それほど適さない。
これに対し、Azure Cosmos DBのサーバレス価格モデルは、トラフィックが散発的に発生し、バーストが小規模なデータベース向けのオプションだ。リソースが大抵はアイドル状態である場合、秒単位で不要なキャパシティーをプロビジョニングし、その料金を支払うのは、合理的ではない。使用量ベースのオプションであるAzure Cosmos DBのサーバレス価格モデルは、「プロビジョニング済みのスループット」という考え方を取り払い、データベース操作で使用されたRUに基づいて課金する。
プロビジョニング済みスループットに基づく価格モデルとサーバレス価格モデル
サーバレスコンテナは、プロビジョニング済みスループットモードで作成されるコンテナと同じ機能をエクスポーズする。これは、ユーザーが全く同じ方法でリソースを管理し、データの読み出し/書き込み、クエリを行うということだ。サーバレスアカウントおよびコンテナと、プロビジョニング済みスループットを使用するアカウントおよびコンテナの違いは、次の通り。
プロビジョニング済みスループット | サーバレス | |
---|---|---|
アカウント当たりの最大Azureリージョン数 | 無制限 | 1 |
コンテナ当たりの最大スループットバースタビリティ | 無制限 | 5000RU/秒 |
コンテナ当たりの最大ストレージ容量 | 無制限 | 50GB |
なお、これらの制限の一部は、サーバレス価格モデルの一般提供開始時に緩和されるか、なくなる可能性がある。この判断は、プレビューユーザーのフィードバックを踏まえて行われる。
また、サーバレス価格モデルは一般提供開始時に、異なるパフォーマンスを提供する。
Azure Cosmos DBのサーバレス価格モデルのユースケース
Azure Cosmos DBのサーバレス価格モデルは、トラフィックが少ない場合や、キャパシティーのプロビジョニングが不要な状況で非常に費用対効果が高いため、開発、テスト、プロトタイピング、概念実証(PoC)、およびトラフィックが少なく、重要性が低いアプリケーションといったユースケースに適している。
これらのシナリオにサーバレス価格モデルを適用するメリットを示すため、Microsoftは、「最大で500RU/秒にバーストし、1カ月に2000万RUを使用するワークロード」を例に取り、プロビジョニング済みスループットモードとサーバレスモードで料金を比較した(両モードのストレージコストは同じであるため、考慮されていない)。
- プロビジョニング済みスループットモード
500RU/秒でコンテナをプロビジョニングする必要があり、1カ月のコストは次のようになる。
$0.008 × 5 × 730 = $29.20
- サーバレスモード
使用したRUの対価として次の金額を支払う。
$0.25 × 20 = $5.00
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