Kubernetes創始者の1人、ジョー・ベダ氏に聞いた「Kubernetesとエンタープライズビジネスの関係」:VMworld 2020に見るVMwareの大きな変化(2)(2/2 ページ)
Kubernetesプロジェクトの創始者の1人として知られるジョー・ベダ氏は今、オープンソースプロジェクトと企業向けビジネスの関係をどう考えているのか。また、Kubernetes製品としての差別化を、どう進めているのか。同氏に直接聞いた。
Tanzuではまさにこれを狙っている。まず、全社的なIT運用担当チームにパワーツールを与え、仮想化基盤を運用してきた人たちが自身の既に持つスキルセットを活用して、自身の顧客である社内開発チームに対してサービスを提供できるようにしていくようにしている、
これによって社内開発チームがAPIドリブン、セルフサービス指向などの特徴を備えた、真にモダンな開発プラットフォームを使えるようにする必要がある。コードの下で動く技術の詳細に手間をかけることなく、コードを書いて固め、デプロイすることを助けてくれる基盤が求められる。
従って、あなたの質問への回答は、「開発チームはvSphereのことなど、気にする必要がない」ということだ。開発チームはコードの下で動くさまざまな技術に関わる必要がない、ITチームに任せれば、この人たちが既に親しみ、理解しているvSphereを活用して、代わりにやってくれる。
クラスタ管理における、他社との具体的な違いとは
――Kubernetesのマルチクラスタ/マルチクラウド管理について聞きたい。VMwareの戦略は、同様なことをやろうとしているGoogleやRed Hatと何か違いはあるのか。
まず、(マルチクラウドよりも)マルチクラスタ管理が重要になる。企業は多数のKubernetesクラスタを扱うようになりつつあるからだ、先週話した、ある大規模金融機関は、将来Kubernetesクラスタを数万の単位で運用するようになるだろうと言っていた。関連ベンダーの多くがこの問題を認識していて、対策を提供しようとしている。
他社との違いは幾つかある。
第一に、「Tanzu Kubernetes Grid」では、非常に動的な形でクラスタを管理し、立ち上げることができる。私たちはこれをCluster APIによってやろうとしている。Kubernetesのテクニック、技術、分散システムパターンを使って、Kubernetesクラスタ自体の管理を実現する。
基本的な考え方はこういうことだ。Tanzu Kubernetes Gridを使うと、あるクラスタを立ち上げるだけではなくなる。複数クラスタの管理と立ち上げを助けるシステムを起動することになる。これを通じて、多数のクラスタを管理するのに必要なコストを減らすことができる。
この考え方は、同じ業界の他のベンダーとは異なる。他社は、クラスタ数の増大にどうやって対処するかと考え、小規模なクラスタを多数管理するのではなく、大規模なクラスタを少数管理するという方向に傾いている。一方私たちは、多数のクラスタを立ち上げ、管理することを助けようとしている。
もう1つ、私たちがやっている面白いこととして、Kubernetesクラスタを動かしている「場所」と、クラスタにアクセスする「チーム」、この2つの概念を分離したことがある。つまり、さまざまなクラウドやリージョンに分散する複数のクラスタへのアクセスを、単一のチームについて容易に設定できる。Tanzu Mission Controlには「Workspaces」という概念がある。これをクラスタと分離することで、人とインフラの間の動的なマッピングを実現している。この機能は当初から組み込んでいるものだ。
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