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経産省主導、“横串”のデジタル市場基盤を検討開始日本国内のDXを推進

経済産業省は日本国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きを活性化させることを目的に、有識者委員会「Society5.0の実現に向けたデジタル市場基盤整備会議」を設置した。

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 経済産業省は日本国内のDXの動きを活性化させることを目的に、有識者委員会「Society5.0の実現に向けたデジタル市場基盤整備会議」を設置。2020年10月16日に第1回会合を開いた。特に、デジタルアーキテクチャの設計に取り組むべき分野の選定など、日本におけるデジタル市場の基盤を展開することを目的としている。

 同省が会合で提示した資料によると、現在の日本国内の状況は、少子高齢化に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、人の動きが少なくなる一方、物流や情報の流れが加速する状況に基盤整備が後れを取っているという。それにより、日本企業がデータ駆動型のビジネスを十分にできず、データが国内に蓄積されない状況に陥る可能性があることを示唆。この状況の原因が「産業ごとにデジタルインフラを個別に整備していること」「規制によるガバナンスが省庁ごとの縦割りで、物理(フィジカル)を前提にし、データ(サイバー)を前提にしていないこと」の2点であると分析する。

 解決策として、同省は「デジタル市場の将来像を見据えて、システム同士がつながるための、全体の見取り図(アーキテクチャ)の設計」「アーキテクチャに基づき、新たなデジタルインフラについて全体最適を考えつつ横串で整備」を挙げている。その結果、日本でデータ駆動型ビジネスの産業が発展し、産業競争力が強化され、個人情報などに配慮したデータ流通を確保できるという。


経済産業省が示す、現在の状況(左)と目指す姿(右)(出典:経済産業省)

「インフラやルールの形成に寄与し、横展開可能な分野」など4分野からテーマ選定

 この委員会で決定したテーマを基にして、具体的な方法論の確立や制度の見直しや各種標準の整備は、システム全体のアーキテクチャの設計、提案を目的として2020年5月にIPA(情報処理推進機構)に創設された「デジタルアーキテクチャ・デザインセンター」が実施する。

 テーマの選定に当たっては「日本の生活者の利便性や経済成長に寄与する分野」「産業競争力の強化につながる分野」「大企業やベンチャーなどプレイヤーがそろっていて、標準等を決めることで効果がある分野」「単なるアプリケーションではなく、インフラやルールの形成に寄与し、横展開可能な分野」の4分野を対象とする。

 具体的には、(1)新たな規制体系の確立や規制手法の高度化が求められている分野における規制関係、(2)無駄をなくし、より効率的なシステムを構築することが求められている分野における政府、公共調達関係、(3)業種を横断した多様なプレイヤーが関与するシステムで、全体整理に国が関与すべき分野における産業競争基盤関係、の3分野を当面のターゲットとするという。

 委員会の立ち上げについて、同委員会の委員であり、日本経済団体連合会会長、日立製作所 取締役会長 執行役の中西宏明氏は「菅新内閣において、デジタル庁の設立をはじめDX推進に向けた方策を矢継ぎ早に打ち出していることに大いに期待している。本会議の検討事項においても、省庁間の縦割りを打破し、政府一体で推進いただきたい」と意見した。

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