Microsoft公式ドキュメントに記された「Sconfig.exe」と「Scregedit.exe」の謎を追え!:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(177)
前回は、Windows ServerのWindows Updateの設定に関して、「Sconfigサーバー構成ユーティリティー」について触れました。今回は、その調査中に見つけたMicrosoft公式ドキュメントの内容の謎を追います。
“Sconfigが非推奨”と空目
「Sconfigサーバー構成ユーティリティー」(Sconfig.cmd)は、Windows Serverの、主にGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を廃した最小インストールオプションである「Server Coreインストール」環境の初期設定と管理のために提供されている、CUI(キャラクタユーザーインタフェース)ツールです。
以下のMicrosoftの公式ドキュメントで説明されているように、Server Coreインストールだけでなく、デスクトップエクスペリエンス環境においても、サーバの一般的な設定の構成と管理にSconfig.cmdを使用できます。
- Sconfig.cmdを使用してWindows Server 2016またはWindows Server バージョン1709のServer Coreインストールを構成する(Microsoft Docs)
Sconfig.cmdはWindows Serverの「%Windir%\System32」ディレクトリに存在し、本体は「言語(ja-jpなど)\Sconfig.vbs」です。「言語\Sconfig.vbs」はさらにWindows Update用のスクリプト「言語\WUA_SearchDownloadInstall.vbs」やレジストリ設定用のスクリプト「Scregedt.wsf」を呼び出します。
そんなSconfig.cmdについて調べていたとき、以下の公式ドキュメントの記述に驚きました。「Scregedit.exe」と「Sconfig.exe」は、「Windows Server 2016」で非推奨(Deprecated、廃止予定)となり、代替方法を使用するように勧めているのです(画面1)。
- Windows Server 2016で削除された機能または非推奨とされた機能(Microsoft Docs)
Scregedit.exeは非推奨となりました。Scregedit.exeに依存するスクリプトを使っている場合は、Reg.exeまたはWindows PowerShellのメソッドを使用するように調整してください。
Sconfig.exeは非推奨となりました。代わりにSconfig.cmdを使用してください。
画面1 Windows Server 2016で「Sregedit.exeとSconfig.exeが非推奨になった」とあるが、もともと以前のバージョンからSregedit.exeとSconfig.exeは存在しない
筆者は少なくとも、製品版のWindows ServerでScrededit.exeやSconfig.exeをこれまで目にしたことがありません。Scrededit.exeに依存するスクリプトなど作成できるはずもありません。何の代わりにSconfig.cmdを使用すればいいのでしょう。
MicrosoftのWebサイトでScregedit.exeとSconfig.exeを検索してみると、以下の公式ドキュメントとWikiの記事が見つかりました。1つ目の公式ドキュメントはオリジナルの英語版は「scregedit.wsf」となっているので、翻訳ミスだと思います(画面2)。2つ目のWikiの記事はコミュニティーベースのもので、公式のものではありませんが、こちらもSconfig.cmdのスクリーンショットがあるので、単なる勘違いのようです。
- Server Coreサーバーの管理(Microsoft Docs)
- Windows Server:Sconfig.exe[英語](Microsoft TechNet:Wiki)
筆者のPCに保存されていた、これまで書いた記事の元原稿も確認してみました。すると、2012年に当時開発中だった「Windows 8 Consumer Preview」と「Windows Server 8 Beta」の記事の中に、“「サーバー構成ツール」(Sconfig.cmd)”と書くべきところを、誤って“「サーバー構成ツール」(Sconfi.exe)”と書いていたことがありました。
記事が掲載されていたメディアのWebサイトは既に存在しないので、公開時にはどうなっていたか(訂正したかどうか)、今となっては分かりません。もし筆者の記事を見て「Sconfig.exe」だと勘違いした人がいたとしたら、ごめんなさい。今ここで訂正します。
これらのツールの初登場まで、時間を戻そう
一応、確認のため、Scregedit.wsfやSconfig.cmdが初登場したときのWindows Serverの環境を見ておきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 次期Windows 10最新動向:リリース秒読みの「19H1」はこう変わる
間もなくリリースされるWindows 10の新しい機能アップデート「19H1」。それに実装される新機能をまとめてみた。また、同時に変更となるライフサイクルなどについても解説する。 - 【新元号発表目前!】Windows 10/Officeの新元号対応どうするどうなる!?
新元号への切り替えが2019年5月1日に行われる。Windows OS/Officeでこの新元号に対応するにはどうすればよいのか、注意すべき点はあるのかなどをまとめる。 - 【Windows 10】できる人は知っているキーボードショートカット
Windows 10でキーボードショートカットを使うと、マウスを使うよりも素早い操作が可能だ。ただ、種類も多く、知っていると便利なのに意外と使われていないものも多いようだ。ここでは基本的なキーボードショートカットを紹介する。 - Windows 10への移行計画を早急に進めるべき理由
本連載では、これからWindows 10への移行を本格的に進めようとしている企業/IT管理者に向け、移行計画、展開、管理、企業向けの注目の機能を解説していきます。第1回目は、「Windows 10に移行すべき理由」を説明します。